- ベトナム労務情報
- 2025.09.06
2025年8月、ベトナム政府は外国人労働者の管理制度を大きく見直す政令219号を施行します。これは、これまで使われてきた政令152号と70号を統合・更新するもので、企業にとっても外国人労働者本人にとっても影響の大きい制度改革です。
一見すると法律改正のように見えますが、実際にはベトナムがグローバル人材を本格的に受け入れる姿勢を打ち出す、大きな転換点と言える内容です。本記事では、なぜこの改革が必要だったのか、そして企業として何をすべきかをわかりやすく解説します。
何が問題だったのか?改革の背景
これまでの制度では、外国人労働者の職種定義が不明確で、地方によって解釈が分かれることがよくありました。その結果、企業ごと・地域ごとに手続きが煩雑かつ非効率になっており、外資系企業にとっては頭痛の種でした。
さらに、政令70号によってベトナム人労働者の優先採用が義務付けられ、外国人を雇用する前に求人広告の掲載が必要になったことで、実務上のハードルが一層高くなっていたのです。
こうした背景を受けて生まれたのが、今回の政令219号です。煩雑な制度の簡素化と透明性の向上が最大の目的となっています。
政令219号の主な変更点とは?
職種の定義がより明確に
「管理職」「専門家」「技術者」といった職種が、より明確に定義されました。これにより、誰がどのカテゴリーに該当するのかが判断しやすくなります。たとえば、これまで3年以上の経験が求められていた専門家職は、優先分野であれば1〜2年で許可対象になるなど、柔軟性が高まりました。
労働許可証の発行窓口が一本化
これまで地域ごとにバラバラだった労働許可証の発行窓口が、省レベルの人民委員会に集約されます。地域間で手続きに差があった問題が緩和され、よりスムーズな申請が可能になります。
電子化で手続きが簡単に
これまで紙で行っていた手続きは、今後はオンラインで完結するようになります。労働許可証と犯罪経歴証明書の申請も同時に電子で行え、結果もオンラインで受け取れます。これは企業にとって大きな負担軽減となるでしょう。
有効期間と更新回数のルールが変更
労働許可証の有効期間は最大2年、そして更新は1回限りと明確に定められました。これにより、企業は長期的な人材計画を立てる必要があり、人材戦略がより重要になります。
複数の地域で勤務できる柔軟性
これまでは勤務エリアが限定されていましたが、政令219号の施行後は、同じ企業内であれば複数の省や都市での勤務が可能になります。ただし、勤務する地域の政府に事前通知する必要があります。
労働許可が不要になるケースの拡大
特定の分野、たとえば金融、科学技術、デジタル分野などで働く外国人に対しては、労働許可証が免除される可能性があります。これはベトナムが高度人材の誘致に本腰を入れている証拠とも言えるでしょう。
企業は今、何を準備すべきか?
政令219号の施行を前に、企業が対応すべきことは多くあります。
まず、現在雇用している外国人スタッフの職種や経験年数が新制度に適合しているかを確認すること。そして、労働許可証の更新ルールが変更されるため、更新スケジュールの見直しも必要です。
また、オンライン申請に対応するために、社内の申請フローの整備やマニュアル化も欠かせません。さらに、許可が不要となるケースでも「事前通知」が義務化されるため、誤って違反とならないよう注意が必要です。
まとめ:人事部門に求められるのは「戦略と法令遵守」
政令219号は、外国人労働者の受け入れをさらに広げる一方で、企業に対してはより高いレベルの戦略性とコンプライアンス対応を求めています。
この法改正を単なる「ルール変更」と捉えるのではなく、グローバル人材の活用を競争力強化のチャンスと位置づけ、柔軟かつ前向きに対応することが求められます。
ベトナム情報週刊コラム
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