- ベトナム国内経済 注目トピック
- 2025.08.15
近年、急速な経済成長と都市化が進むベトナム。その変化の中で、今ひときわ存在感を増しているのが「コンビニエンスストア(CVS)」です。都市部を中心に大手チェーンの出店が加速し、ベトナム人のライフスタイルを大きく変えつつあります。この記事では、ベトナムのコンビニ市場が今なぜ注目されているのか、その背景や将来性、中食(なかしょく)文化との関係性について考察します。
■ ベトナムにおける“コンビニ”とは?
日本でおなじみのコンビニが、今ベトナムでも急速に広まりつつあります。代表的なブランドには以下のようなものがあります:
Circle K:国内最大規模の展開数を誇り、都市部を中心に24時間営業。
FamilyMart:日本資本を背景に、弁当やおにぎりなど和食系商品が人気。
WinMart+(旧VinMart+):ベトナム国内ブランドで、ローカル色を活かした商品展開。
Mini Stop:イオン系列で、日系クオリティを活かした商品ラインナップが特徴。
これらの店舗は単なる「日用品を買う場所」ではなく、現代都市生活における“食のインフラ”として存在感を強めています。
■ 中食需要の増加と都市化の影響
コンビニが支持される最大の理由の一つに、「中食需要(外で調理された食品を家庭で食べること)」の急増があります。
以下のような社会的要因が背景にあります:
・共働き世帯の増加:食事を家庭で一から作る時間が減少。
・単身・核家族化の進行:簡便で1人分の食事が好まれる傾向。
・都市生活者のタイムパフォーマンス重視:外食よりも「家で手軽に」食べたいというニーズ。
特にホーチミンやハノイなどの都市部では、コンビニの弁当・総菜コーナーに夕方以降長蛇の列ができる光景も珍しくなくなりました。
■ コンビニ業界の課題と可能性
急拡大を続けるベトナムのコンビニ市場ですが、当然ながら課題も存在します。
・利益率の低さ:高額な賃料や人件費に対して、単価の安い商品が多いため採算が難しい。
・物流・冷蔵インフラの未発達:温度管理や時間通りの納品が困難な地域も。
・習慣の違い:ベトナム人にとっては「市場(Cho)」や露店での買い物が主流であり、コンビニの価格に割高感を感じる層も多い。
それでも、今後の中間層の拡大や若年層の生活スタイルの変化、デジタル決済の普及などが追い風となり、さらなる市場成長が期待されています。
■ 外国人居住者にとってのコンビニ活用法
日本人を含む外国人居住者にとっても、ベトナムのコンビニは非常に心強い存在です。
・24時間営業の安心感
・英語表記の商品やスタッフ対応
・スマホ決済やクレカ決済への対応
・日本食・輸入食品の取り扱いがある店舗も増加
特に、初めてベトナムに住む方にとっては、コンビニの存在が生活の「入り口」として非常に便利です。
■ まとめ
ベトナムにおけるコンビニの普及は、都市化やライフスタイルの変化に応じた必然の流れと言えます。「中食文化」の定着とともに、コンビニは今や“食の選択肢”だけでなく、“生活基盤”そのものへと進化を遂げつつあります。
生活者としての視点だけでなく、ビジネスの観点でも注目すべきトピックの一つ。ベトナムに住む/働く日本人にとっても、日常の中でその変化を感じ取ることは、現地理解を深める大きなヒントになるはずです。