- ベトナム就職情報
- 2023.11.09
ベトナムでは例年1月下旬~2月上旬頃にテト休暇があります。
テト休暇は旧正月に伴う大型連休で、東南アジアでは日本のように新暦のお正月よりも旧暦のお正月を盛大に祝い大切にする習慣・文化が根付いている国が多いです。ベトナムもその国の1つです。
ベトナムではこのテト休暇明けに「ベトナム人の転職が増える」と言われているのを皆さんはご存知でしょうか??
この記事では、
テト明けに転職が増える理由
ベトナム人の転職動機
ベトナム人が転職時に心配になること
ベトナム人の転職者を防ぐには
について詳しく解説していきます。
テト明けに転職が増える理由
テトボーナスを貰うため
ベトナムの人々がテト後に転職を選択する最大の理由だといわれています。転職時期を考える際に、テト後の賞与を受け取るまで働きその後離職というタイミングを選択する方が多いです。
テトボーナスとは?
ベトナムの労働法上、労働者への賞与の支給を雇用主の法律上の義務として定めており、旧正月の時期にはいわゆる「テトボーナス」が支払われます。
額には決まりはなく、労働組合と合意したうえで支払いの有無及び金額を決定することになっています。給与の一か月分以上の賞与を支払うことが義務付けられていた名残もあり、最低1カ月の賞与が慣例として残っています。また賞与の時期もテト正月前後、または最初の雇用契約から毎年1年後など会社によって異なります。
②テト休暇はゆっくり過ごすため
テト直前になると、多くのベトナム人が「テトを安心して迎えたい」と考えるため、転職活動を控える傾向があります。
理由としては、転職活動は長期間に及ぶことがよくあり、テト直前まで履歴書を書いたり面接に行ったりするよりも、「テト休暇を終えた後に気持ちを新たに転職活動を始めたい」と考えるベトナム人の方が多いという見方もあるようです。
ベトナム人のテトの過ごし方はこちらの記事もご覧下さい。
③テト後は採用シーズンだから
多くの企業の規定では退職願は1か月前までに提出しなければならないため、退職希望者は、テト前に退職手続きを済ませている場合が多くなっており、退職希望者はテトの休暇を終えて、その後正式に退職していきます。
したがって、企業の人事部は退職数を見込んで積極的に採用を行い、速やかに後任を確保する必要があります。そのため、労働市場はさらに活況になり新しい求人が増えるため、転職者もそれに従って増える構図になっているようです。
ベトナムの離職率についてはこちらの記事をご覧ください。
ベトナムの採用スケジュール
一般的にはベトナムの求職活動時期には以下のような傾向があると言われています。
3~5月 | 求職者数 増加 |
6~8月 | 大学卒業シーズン前の新卒採用が増加 (一方で、中途採用数は新卒採用が目立つため若干減少するように見受けます) |
9~11月 | 求職者数 増加 |
12~2月 | 求職者数 減少(※テト前) |
転職者は、新卒採用シーズンを避けて転職活動をしたいと考えるため、必然的にテト前後に転職活動が集中するようです。また、「新年に新しいスタートを切りたい」「帰省で家族から転職するようにアドバイスを貰った」「故郷が懐かしくなり帰郷を決めた」などテトをひとつの区切りとして考える人が多いことも理由として考えられます。
ベトナム人の転職動機
ベトナム人が転職をどんなものがあるのでしょうか?ここではいくつかの動機をご紹介します。
①給与に不満がある
多くのベトナム人にとって給与は仕事に対する大きなモチベーションになっている場合がほとんどです。しかし「給与・賞与が少ない」「昇給幅が小さい」「福利厚生(社員旅行など)が手厚くない」など、不満な点が出てくると転職を考える人は少なくありません。
ベトナム人にとって転職はネガティブなイメージはなく、自分をより高く評価してくれる会社に採用されたいと考えるジョブホッパーが多いのも特徴的です。
社員旅行は必須?!
福利厚生の面では、民間保険の有無や社員旅行の行き先などが重視されます。日本では敬遠されがちな社員旅行ですが、ベトナム人にとって一大イベント。旅行の内容を日頃の働きに対する対価と受け止め、顧客やパートナー企業、入社を考えている人にとってのアピールになると考えられています。
②職場環境や人間関係が良くない
「仕事に対する考え方が上司と合わない」「スタッフ同士の人間関係が上手くいかない」など人間関係に不満を持って転職を考える場合もあります。
特に「人前で𠮟られる」と自尊心が傷つけられたと感じる人も多いベトナム人。仕事上で指導が必要な場合には「個別に話をする」などの気遣いが必要です。
また通勤時間が長い、休日出勤があるなどもプライベートの時間を重視するベトナム人にとっては受け入れられにくいと言われています。
③家庭の事情のため
結婚や出産、介護などが理由で転職する人もいます。家族を大切にする国民性から、ワークライフバランスを保ちながら家族のケアをしていきたいと考える人が多く、自分や家族にとって最善の選択ができるようにと転職をすることもあります。
④スキルアップが見込めない
ベトナム人は向上心があり、スキルアップにも積極的です。成長が見込める環境に身を置き、給与アップのために自身のキャリアを磨きたいと思っている人が多く、正当な評価を求める傾向にあります。しかし「毎日同じような仕事しか任せられない」「何のためにやっているのか分からない」などモチベーションが下がると転職を考える人もいます。
⑤留学や起業のため
比較的若いベトナム人に多い退職理由は「海外留学」です。海外で学び、働くことで家族の経済を支えたいという気持ちが強く、ベトナム国内で就職するよりも海外で就職した方が給与が高いという認識があります。
また、大学の進学率も年々上昇するにつれ、留学への関心も高まってきています。自分の人生にとって価値のある経験を得るための一つとして、留学を志す若者が増えているのも理由の一つです。
一方で、ベトナム人は自分で事業を立ち上げることを目標とする人が多いのも特徴です。ベトナムでは少ない資本でも起業が可能です。職場で培ったスキルやノウハウを生かして独立をするために退職する人もいるようです。
ベトナム人が転職時に心配になること
転職に前向きな考えの人が多いベトナム人ですが、転職の際に心配になってしまうこともあります。
①無収入になること
2023年第3四半期のベトナム人労働者の平均収入は月710万ドン(約4300円)となっています。貯蓄率も低く月の収入がないと生活が続けられないという人も少なくありません。仕事を辞めてから転職活動をすると生活費がなくなってしまう心配があるため、採用内定後の退職やテトボーナスを受け取ることが重要視される傾向になります。
②ボーナス後の退職に罪悪感
SNS上で「テトボーナスを受け取って辞めるとは恩知らず」「テトボーナスを貰って辞めることに罪悪感がある」といった投稿があり、Web記事になりました。テトボーナスを受け取ることは当然の権利ですが、ベトナム人の中にも「辞めることに罪悪感がある」という人もいるようです。
③経歴が多くなりすぎる
転職者の方も、雇用主が常に求めているのは「長く会社に勤めてくれる人材」ということを理解しています。そのため、転職活動の際に経歴が多すぎると不利になる可能性があると考え心配になってしまいます。また、前の職場で充分なスキルや経験を積めていない場合も転職が有利にならないのではと考えることもあるようです。
ベトナム人の転職を防ぐには?
ここではベトナム人の離職を防ぐアイディアを8つご紹介いたします。
コミュニケーションを大切にする
昇給する
責任あるポジションを任せる
ギフトを欠かさない(女性の日等)
従業員の家族を大切にする
上司が積極的に従業員のフォローをする
社員旅行や社内イベントを設ける
成果を社員の前で褒める
まとめ
いかかでしょうか?今回はベトナム人がテト明けに仕事を辞める理由や転職動機についてご紹介しました。
しかし、転職の理由や状況は人それぞれ異なるため、すべてを解消することや防ぐことは困難です。
ですが、一方で向上心とスキルアップに熱心なベトナム人のモチベーションを保ちながら共に働いていくことも可能です。
この記事が参考になりましたら幸いです。
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