ベトナム人の計画性のなさ

ベトナム人の計画性のなさ

ベトナムとご縁があって、ベトナム人の結婚式に呼ばれて、出席したことがありますか?

招待状には午後6時からスタートと書かれているため、まじめな日本人は6時前から来ますが、開宴時間はほとんどは7時過ぎ、雨なんかでひどい時は7時半まで待たないといけない。悪いことに、どうせみんな遅れるから早く行くと損すると思って、この慣習は一向に変わる気配がありません。早く来るマジメな人たちは損する形になってしまっています。

もう一つ記憶に残る事例がありました。
ベトナムで少し前まではヘルメットを着用するのが義務化していませんでした。
それが、義務化になったのは2007年12月15日でした。そのために、法律施行するずっと前に(どうもそれがJICAの支援らしいですが)バス停やビルボードなどで、ヘルメット着用を促す大規模な告知が行われました。そこで、何か起きたかというと12月14日の夕方以降ヘルメット売店には購入者で長い行列ができました。ヘルメットを購入して翌日の法律施行に間に合わせるためでした。全国民が一気にヘルメット着用義務化されるということで、法律施行できないではないかという心配を一掃する国民の順応性で、世論を驚かせましたが、直前にならないとアクションをとらない性質が浮き彫りになる現象でした。

弊社のベトナム人社員を見てみても、こういう直前なアクションが多々あります。突然な休み申請はとても多いですし、提出物はほとんど期限ぎりぎりです。そこで、計画性欠如の原因を分析してみました。

⭐ 其の1:そもそも計画することすら嫌っている(教わっていないとも言えます)
ソーシャルメディアでよく拡散される内容の中で、「値段を気にしないで買い物できるぐらいのお金を持ちたい」、「お金を気にせず旅行したい」のような考えがかなり支持されています。かなり高い金銭志向を持っています。そもそも大金持ちはごく一部でほとんど国民は金銭的に工夫することで、限られたお金の中で最大限楽しむノウハウを学習する必要があります。一般的に、「楽しいことをしたい➡計画/工夫する➡お金を含めて、いろいろ準備する」のようなプロセスが考えられますが、大金持ちではないので、計画もしたくない、楽しむのを諦める、とまさに逆の思考プロセスが起きています。

⭐其の2:安い労働力に支えられる無計画性(便利さ)
上記の結婚式の話にも通じますが、遅れても損しないため、早く行く損を被るよりかは遅く来ようとなってしまっています。優しい国民性だからかもしれませんが、その背後には安い労働力に支えられるからと私はみています。安い労働力があるから、宴会が1時間長くなってもレストランにとって、大きなコストアップになってないため、うるさいこと言わず、サービスしちゃうと。家に書類を忘れたら、安い運賃でGrab Deliveryですぐ届けてくれる。腹減ったら、そこらじゅうの地べたのラーメン屋で一服できる。思い立って、遠出したかったら、運転付きの車を借りて、すぐ出かけられる。これらすべては安い労働力に支えられる無計画性(でもかなり便利)だが、経済発展につれて、労働賃金が高騰すると、状況も変わって行きます。

  • コスト高になり、学生を採用しづらくなる➡計画的な定期採用になる
  • 車を保有するコスト高くなり➡公共交通にシフトしていくと、運転ダイヤルに合わせないといけない
  • 個人事業主としては稼げなくなり➡サラリーマンになる➡規律のある計画的な生活に順応する
  • 生活維持費が高くなり、キャリ重視する(コラム19を参考に)➡計画的な思考になる

其の3:計画的な人ほど損しやすい社会情勢
数年前にハイフォンからハノイへ路線バスで移動したことがあります。正規なチケットで乗車したわけだから、正規な席が約束されるはずだが、運転手が個人的に現金を受け取って、無理やり席数以上の人数を押し込んでいました。おかげで、席の一部を譲らないといけない非常に不快な旅でした。これは運転手がバスを所有している権利を乱用した事例ですが、VIPの知り合いだから優先されるなど、利権を乱用され、正しい行いをする人たちの権利を損なっている形になってしまいます。逆に計画を守ろうと思うと今度、戦わないといけず、エネルギー消耗されます笑。

社会が発展していくと上記の仮説②および仮説③が自然によくなるとみています。
一方で、仮説①である個人的レベルの楽しみ方や計画性は学校(部活)や家庭内でしか教わっていないため、法人として、この楽しむ➡計画性プロセスを応援するような活動があると最高によいと思っています。社員および会社でお金を積み立てて、慈善活動に回す、社員旅行予算を業績連動させる、などなどが考えられます。弊社も実施に向けて、組合長と相談してみることにします。

HRnaviスタッフ

執筆者HRnaviスタッフ

べとわーく編集部は、ベトナム在住歴10年以上のメンバーを中心に構成しています。
ベトナム生活情報や飲食店情報などから、在住歴が長い人しかわからないような
コア情報までお届けします。

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