2025年8月7日に施行されたベトナムの新しい政令第219/2025/NĐ-CPは、外国人労働者の労働許可(WP)に関する手続きを大幅に簡素化し、企業や外国人労働者にとってより柔軟で効率的な制度へと進化しました。この記事では、旧法令(政令152/2020/NĐ-CPおよび70/2023/NĐ-CP)との比較を通じて、改正内容の詳細、メリット・デメリット、実務上の留意点を日本人読者向けにわかりやすく解説します。
改正の背景と目的
ベトナム政府は、急速な経済成長とデジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、外国人労働者の受け入れ制度を見直し、より効果的で透明性の高い管理体制を構築することを目的としています。政令219は、これらの目的を達成するために、手続きの簡素化、審査期間の短縮、優先分野での免除対象の拡大など、さまざまな改革を実施しました。
🔍 改正内容の比較:旧法令 vs 新法令
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項目 |
政令152/2020/NĐ-CP / 70/2023/NĐ-CP |
政令219/2025/NĐ-CP |
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審査期間 |
労働需要報告:5営業日 労働許可申請:5営業日 |
一括申請:10営業日以内 |
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免除対象 |
高額投資家、専門家、技術者など |
高額投資家、専門家、技術者、短期出張者(年間90日未満)、優先分野の専門家など |
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経験要件 |
専門家:学士号+3年経験 技術者:1年訓練+3年経験 または 5年経験 |
専門家:学士号+2年経験 技術者:1年訓練+2年経験 または 3年経験 |
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手続きの簡素化 |
労働需要報告と労働許可申請は別々の手続き |
労働需要報告と労働許可申請を一括申請 |
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有効期間 |
労働許可証の延長は1回、最大2年 |
労働許可証の延長は1回、最大2年 |
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多拠点勤務 |
各地で別々に申請が必要 |
1つの労働許可証で複数の省で勤務可能、3日前に通知 |
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報告義務 |
半年ごとの外国人労働者報告が必要 |
半年ごとの報告義務は廃止 |
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オンライン申請 |
一部可能 |
全国公共サービスポータルを通じて完全オンライン対応 |
💡 主な改正ポイントとその影響
1. 手続きの簡素化と審査期間の短縮
政令219では、労働需要報告と労働許可申請を一括で行うことが可能となり、審査期間が従来の約10営業日から10営業日以内に短縮されました。これにより、企業は迅速に外国人労働者を受け入れることができ、業務の効率化が期待されます。
2. 免除対象の拡大
新たに、年間90日未満の短期出張者や、金融、科学技術、イノベーション、国家デジタルトランスフォーメーションなどの優先分野での専門家が労働許可証の免除対象に追加されました。これにより、特定の分野での外国人労働者の受け入れが容易になり、専門性の高い人材の確保が進むと考えられます。
3. 経験要件の緩和
専門家や技術者の経験要件が緩和され、特に優先分野での採用が促進されることが期待されます。これにより、若手の専門家や技術者の受け入れが進み、産業の発展に寄与することが期待されます。
4. 多拠点勤務の柔軟化
1つの労働許可証で複数の省で勤務が可能となり、3日前に通知するだけで済むようになりました。これにより、企業は柔軟な人材配置が可能となり、業務の効率化が図られます。
5. 半年ごとの報告義務の廃止
半年ごとの外国人労働者報告義務が廃止され、企業の事務負担が軽減されました。これにより、企業はより効率的に人事管理を行うことができます。
⚠️ 留意点とデメリット
- 実務上の対応:新たな手続きや要件に対応するため、企業は人事部門の体制強化や、関連する書類の整備が求められます。
- 免除手続きの確認:免除対象となる場合でも、事前に関連機関からの確認が必要な場合があるため、注意が必要です。
- オンライン申請の準備:全国公共サービスポータルを通じたオンライン申請に対応するため、システムの整備やスタッフの教育が必要です。
📝 まとめ
政令219/2025/NĐ-CPの施行により、ベトナムにおける外国人労働者の受け入れ制度は大きく変革されました。手続きの簡素化や免除対象の拡大により、企業はより柔軟かつ迅速に外国人労働者を受け入れることが可能となり、競争力の向上が期待されます。一方で、新たな要件や手続きに対応するための準備が必要であり、企業はこれらの変化に迅速に対応することが求められます。
今後もベトナムの労働市場は変化し続けると考えられます。企業は最新の情報を常に把握し、適切な対応を行うことで、持続可能な成長を実現できるでしょう。

