今や世界でも有数の日系企業進出国であるベトナム。
日本企業の現地法人数が多い国ランキングで、1位中国、2位アメリカ、3位タイ、4位シンガポールに次いで5位となっています。
| 順位 | 国名 | 日系企業現地法人数 |
| 1位 | 中國 | 6,862 |
| 2位 | アメリカ合衆国 | 4,222 |
| 3位 | タイ | 2,753 |
| 4位 | シンガポール | 1,576 |
| 5位 | ベトナム | 1,463 |
※海外企業進出総覧国別編(2023年版)より抜粋
また、数年前と比較すると、ベトナムの日系企業数の伸び率は急激で、4位のシンガポールに迫る勢いです。
日系企業が今急速に進出を果たしているベトナムですが、ベトナム国内ではどのような日系企業が有名なのでしょうか?
こちらの記事では現在のベトナムでの日系企業進出状況とベトナムで有数の日系企業を紹介していきます。
これからベトナム移住を検討している方や、仕事でベトナムに関わりのある方は必見です!
ベトナムに進出する日系企業
ベトナムは現在世界有数の日系企業進出国であることを紹介しましたが、ここまで日系企業が進出するようになったのは1990年代までさかのぼります。
1986年にベトナムがドイモイ政策を採択し市場経済への移行を進めたことをきっかけに、外資を投入し外国企業の投資先として誘致する政策を始めました。
ベトナムは豊富な労働力と人件費の安さによって製造業にとって魅力的な国ではありますが、当時は製造業を誘致する場所がなかったため、日商岩井(現:双日)と住友商事の2社が工業団地建設を行い、大手企業の進出を後押ししました。
そこから徐々に製造業のベトナム進出が進み、2000年代になると保険や金融業など製造業と密接にかかわる業種の進出が進み、2010年を過ぎる頃からは飲食業やIT企業、各業界の中小企業なども進出を図るようになりました。
その結果、現在ホーチミン商工会議所への登録企業が1052社(2024年4月現在)(※1)、ハノイ・ハイフォン等を含む北部を管轄するベトナム商工会議所の登録企業が1,541社(2024年4月現在)、ダナンが約130社、合計3000社近い企業が登録しています。
外務省の海外進出日系企業拠点数調査(※3)によると2022年時点では、ベトナム進出日系企業は2373社と発表されていましたが、直近2年での進出企業数の多さを実感するとともに、もちろん登録していない企業も沢山あるため実際はもっと多くなると思われます。
進出企業数が増えると同時に、在住邦人数も軒並み増えており、コロナ禍で少し目減りしたものの2万人を超える日本人がベトナム在住となっています。
今後も増えることが予想されており、日系飲食店などの進出も加速しています。
※1ホーチミン日本商工会議所より抜粋
※2 ベトナム日本商工会議所より抜粋
※3 海外進出日系企業拠点調査/外務省より抜粋
ベトナムで有名な企業5選
ベトナムには2000を超える日系企業が進出していることを先述しましたが、実はベトナム人にとって欠かせない有名な日系企業も沢山あります。
誰もが知る有名企業から、ベトナム現地で広く愛されている企業、今後の躍進が期待される企業まで、激戦した5社をこちらで紹介します◎
①HONDA

世界のHONDAはもちろんベトナムでもトップクラスに有名な企業です。
世界中どこに行っても知られている会社と言っても過言ではありませんが、ベトナムはその中でも特にHONDAの認知度は高い国ではないでしょうか。
ベトナムは世界屈指のバイク大国であり、人口100人あたりバイクの所有率が72台(2020年現在)。子供を抜けば実質1人1台持っていると言えるでしょう。
そんなベトナムで最初に普及した二輪車がホンダなのです。そのため『HONDA』を知らない人はベトナムにはいない、非常に有名な日系企業です。
現在もなお、ベトナムでのバイク販売台数はHONDAがシェア1位です。
②UNIQLO

続いては日本でも誰もが知っているUNIQLO。
UNIQLOはベトナムでも今や知らない人はいない程有名で、どこのショッピングセンターに行ってもテナントが入っている程です。
日本ではファストファッションで低価格かつ高クオリティが売りのUNIQLOですが、ベトナムでは中価格帯でクオリティが高いブランドです。
ベトナムの一般家庭では少々手が出しにくく、セールになっている商品を買うベトナム人も多いようで、人気の高さがうかがえます。
クオリティが高いことはベトナムでも広く知られており、UNIQLOは何回洗ってもくたくたにならず、仕事などで着ている人も多くいます。
日本製品かつ場面を選ばないシンプルなデザインで、何か困ったときにUNIQLOが近くにある安心感は大きいのではないでしょうか。
日本と比較すると価格は30~50%程割り増しされているので、日頃からの愛用品などは日本への一時帰国時にまとめて購入がおすすめです。
③Acecook

日本ではワンタン麺でおなじみのAcecook。実は日本国内よりも収益が高いのはベトナムエースコックであり、ベトナムで大成功した日系企業のひとつです。
Hao Hao(ハオハオ)という即席めんシリーズはベトナムの国民食で、あまりにもベトナムに根付いていることからAcecookはベトナム企業だと思っているベトナム人も少なくありません。

ベトナムでは即席めんが安くて美味しい日常食として、食卓には欠かせないものとなっており、その先駆けとなったのがAcecookなのです。
Hao Haoに加えて、インスタントフォーや春雨などの様々なインスタント食品を展開しており、日本人の口に合うもの多いためお土産にもおすすめですよ。
どこのスーパーやコンビニに行っても絶対に売っていますので、是非お試しください◎
④UCC上島珈琲ベトナム

コーヒーで有名な日本企業の一つがUCCですが、コーヒー大国ベトナムにも進出しているのがUCC上島珈琲ベトナムなのです。
駐在員事務所を置いていましたが、2018年に現地法人を設立し、同社が運営するカフェ「UCCコーヒー・ロースタリー」がホーチミンにあります。
ベトナムは従来よりコーヒー文化が長く根付いていますが、ロブスタの苦みの強い豆をコンデンスミルクなどでマイルドにして飲むベトナムコーヒーが主流でした。
しかし近年スターバックスなどのエスプレッソ系飲料に加え、最近では高品質な豆を使用し、一杯ずつハンドドリップで淹れるサードウェーブやスペシャリティコーヒーがブームになりつつあります。
UCCコーヒー・ロースタリーもまさにその一つで、ベトナムのおしゃれな若い世代からの人気が高まっており、ワッフルやサンドイッチなどの軽食も美味しいと話題です。
世界第2位を誇るコーヒー豆の生産地かつ、カフェ激戦地であるベトナムで挑戦し、高い人気を誇るUCC上島珈琲ベトナムに今後も注目です◎
⑤タカラスタンダード

システムキッチン・システムキッチン・バスを中心とした住宅設備機器メーカー・タカラスタンダード株式会社が、現在ベトナムのキッチン業界で人気急上昇中なのです。
高温多湿なベトナムの気候にぴったりの、湿度や熱に強く水分や汚れに強い素材『高品位ホーロー』を使用したシステムキッチンで、現在ベトナム国内での売上を順調に伸ばしています。
ハノイのHDIタワーのキッチンに採用されるなど、現在ベトナム国内のキッチンや洗面所事情の品質向上に一役かっている企業です。
まだまだホーロー製品の良さはベトナムで普及中のため、今後もショールームを増やして実際に見てもらえる機会を増やしていく予定のタカラスタンダード。
ベトナムでのさらなる活躍が期待されている企業です!
まとめ

現在ベトナムに進出する企業が2000社を超えるに至った変遷を紹介しました。
実際にベトナムに住んでいる筆者は、日々肌でベトナムの経済成長を感じ、至る所で日系企業の存在を目にしています。
ただ、ドイモイ政策を皮切りに1990年代からここまで日系企業が進出する背景には、ベトナム人が勤勉であることや経済成長を果たすため国を挙げて尽力したこと、日系企業の努力など様々な要因がありました。
また、同じ日本人としてはベトナムで活躍している日系企業が多く存在していることは誇りであり、今後の日越経済のさらなる成長に期待します。
先駆者たちが作り上げたベトナムの親日に感謝しつつ、筆者もベトナムへ貢献できるよう尽力したいと思うばかりです。
これからベトナムにかかわる仕事をする方々にとってこちらの記事が参考になれば幸いです。
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