ベトナム就職を検討されている方、ベトナムへの引っ越しを予定されている方にとって、現地の生活水準は気になる点でしょう。
「ベトナムの生活水準はどれ位?」
「発展途上国のイメージがあるけど、ベトナムの物価って上がっているの?」
「ベトナム在住者の実感も聞いてみたい」
今回は、そんな「ベトナムの生活水準」に関わる疑問を解決するような記事を書いていきます。
ベトナムの生活水準を「データ」と「在住者の声」の両方から理解

今回の記事では、「ベトナムの生活水準を『データ』と『在住者の声』の両方」から解説していきます。
客観的な情報と、主観的な意見を知ることで、ベトナムの生活水準をより鮮明にイメージに頂ければ幸いです。
「ベトナムの生活水準」を理解する4つのデータ

ベトナムの生活水準を理解するため、以下「4つのデータ」を見ていきましょう。
- ベトナム人の平均年収
- 産業別人口
- 最低賃金の上昇率
- ベトナム人の専門別年収ランキング
順番に解説していきます。
1. ベトナム人の平均年収

JETROによると、ベトナム統計総局が発表した2022年第2四半期の全国平均「月収」は、6,600,000ドン(約38,000円)との事です。
ベトナムの給与や年収
ベトナムで給与の話題をする際は、通常「月収」で述べられます。
また、「年収」の計算方法は、ボーナス1ヶ月分を含んだ「月収×13ヶ月分」です。
上記金額を年収に換算すると、「85,800,000ドン」、つまり「約480,000円」となります。
ただ、この数値はあくまで「全国」の平均値です。
日本人が多く住む、ハノイやホーチミンなどの大都市圏のみを平均した値は、以下の通りです。
- ホーチミン市(南部)
- 月収:9,100,000ドン(約51,000円)
- 年収:118,300,000ドン(約660,000円)
- ビンズオン省(南部)
- 月収:8,900,000ドン(約50,000円)
- 年収:115,700,000ドン(約650,000円)
- ハノイ市(北部)
- 月収:8,700,000ドン(約49,000円)
- 年収:113,100,000ドン(約640,000円)
引用:JETROビジネス短信
上記データから分かる通り、ベトナムの平均月収は約38,000円〜51,000円ほど。
年収換算すると「約650,000円前後」という事が分かります。
日本における2021年の平均年収「4,330,000円」と比較をすれば、約6分の1の水準なのです。
ただし、注意点としては、上記金額はあらゆる産業の労働者の平均値である、ということです。
つまり、地方の農業・工業従事者から、都市部の外資系企業のマネージャーまで含まれており、各層の差は考慮されていないという事です。
平均年収で見れば、ベトナムはまだまだ成長途上であるという事が読み取れるでしょう。
2. 産業別人口

次に、ベトナムの「産業別人口」を見ていきましょう。
同じくJETROが、2021年3月に発表したレポートによると、ベトナムの産業別人口トップ3は以下の通りです。
- 1位:サービス業(第3次産業。36.3%)
- 2位:農林水産業(第1次産業。32.8%)
- 3位:工業・建設業(第2次産業。30.9%)
引用:JETRO「労働供給面からみたベトナムの生産地としての可能性」
また、同レポートの「2008年から2020年の推移」も見てみましょう。
農林水産業に従事する人口が減少し、サービス業と工業・建設業への就労者が増加しています。
上記から、「ベトナムは第1次産業から第3次産業まで、就労者がほぼ同じ割合で存在していること」「今後はサービス業や工業・建設業への就労人口が増加する見込み」であることが分かります。
ここで、日本のデータと比較をしてみましょう。
- 1位:第3次産業(15歳以上就業者数の67.3%)
- 2位:第2次産業(同25.9%)
- 3位:第1次産業(同5.1%)
参照:総務省統計局
日本では、圧倒的に第3次産業、つまりサービス業の担い手が多い事が見て取れます。
このように、日本と比べ、ベトナムは農林水産業や工業・建設業に就く人口が多いことが理解できます。
3. 最低賃金の上昇率

3つ目は「最低賃金の上昇率」です。
最近の最低賃金引き上げは、2022年6月です。
同月に公布されたベトナム政府の政令により、2022年7月1日より、最低賃金が平均6%引き上げられました。
また、2013年以降、最低賃金は一貫して上昇を続けていることが分かります。
つまり、直近約10年間は、ベトナムの平均給与は継続して上昇しているのです。
また、給与上昇に伴い、「可処分所得や消費に回す金額も上昇している」と推測することもできます。
4. ベトナム人の専門別年収ランキング

4つ目は「ベトナム人の専門別年収ランキング」です。
世界の人事にまつわるデータを扱うTOPIAによると、ベトナムの専門別給与ランキングは以下の通りです。
- 財務・経理マネージャー(63,168ドル)
- オペレーションマネージャー(51,591ドル)
- 外科医(50,898ドル)
- 建設エンジニア(50,579ドル)
- 営業マネージャー(46,424ドル)
金額を見ても明らかな通り、「日本で稼ぐ金額と変わらない、もしくはそれ以上の水準」であることが分かります。
4つのデータから分かること

これら4つのデータから言えることは、以下の通りです。
- 平均年収で見れば、ベトナムは日本の6分の1の水準。
- 農業などの第1次産業や、工業などの第2次産業に従事する人が多い。
- とは言え、毎年賃金は上昇している。
- 更に、日本の平均年収以上に稼ぐ人も出てきている。
これらはデータですが、現地で感じる肌感覚としては、どうなのでしょうか。
2013年よりベトナムに居住する、筆者の感覚をご紹介します。
在住者の実感

筆者の、「ベトナムの生活水準」に関する実感は、以下の通りです。
- 給与を上昇させていく人が、周囲に増えている。
- 生活水準が「日本並かそれ以上」の人も目立ち始めた。
- 一方で、生活必需品の価格設定などは「平均月収者向け」
それぞれ、順番に解説していきます。
給与を上昇させていく人が、周囲に増えている。
上記データで示されたように、筆者の周囲でも、給与を上昇させていく人が増えている、という印象を受けます。
2013年から今でも友人の、あるベトナム人男性の例を上げます。
彼は、ある日系企業に勤務する、営業職でした。
出会った当初は、月収が約800ドル(約100,000円)。
しかし、8年後の2021年には2,000ドル(約220,000円)まで給与を増やした、との事でした。
彼の場合は、ある1つの日本企業に勤め続けて給与を上昇させたケースですが、転職を繰り返すことで給与を上げていく人も多くいます。
生活水準が「日本並かそれ以上」の人も目立ち始める。

2つ目に感じることは、「生活水準が『日本並かそれ以上』の人も目立ち始めた」という事です。
2013年頃、筆者の周囲にいるベトナム人と話すと、以下のような生活習慣を持っている人が多くいました。
- 食事は基本的に家で済ます。
- 休日はバイクでカフェに行く程度。
- 旅行は1年に1回のぜいたく。
しかし最近では、以下のような生活を送る話を、頻繁に耳にするようになりました。
特に、ハノイやホーチミンなどの都市部の人から多く聞きます。
- 外食も積極的に行く。
- 休日は自家用車で遠出。
- 連休の度に、家族とベトナム国内やアジアへ旅行。
上に述べた過ごし方は「日本人の過ごし方と変わらない」と言えるでしょう。
また、「賃貸物件の家賃」も日本の都市部レベルに近づいています。
ベトナム地場の不動産会社Vinhomeが手掛けるタワーマンションでは、家賃が1LDKで1,000ドル(約120,000円)以上にも達しています。
この金額は、東京23区のマンションとほぼ変わらない水準です。
この「生活水準の向上」「家賃の上昇」と足並みを合わせるように、レストラン等や娯楽などの価格も合わせて上昇していると感じます。
一部のお店では「日本よりも高いな」と感じる程です。
一方で、生活必需品の価格設定は「日本の2分の1から3分の2程度」

とは言え、「生活必需品の価格設定は『日本の2分の1から3分の2程度』」であるとも感じます。
上述の通り、豊かになる人が増える一方で、平均月収は依然として、日本よりも圧倒的に低い水準です。
どれ程低いかは、「1. ベトナム人の平均年収」で見た通りです。
その影響からか、食料品や家庭用品など、生活必需品の価格も日本より低水準に設定されています。
物により異なりますが、感覚的には、日本の2分の1から3分の2ほどの価格です。
ベトナムにおける「平均月収を稼ぐ人々」に合わせられている、とも言えます。
「生活必需品の入手は、日本よりも低い金額で可能」

以上から、
- 一部サービスの価格は「日本並かそれ以上」
- 生活必需品の価格は「日本より低い水準」
という事が分かります。
つまり、「生活必需品の入手は、日本よりも低い金額で可能」という事です。
そして、「日本並かそれ以上」となっている「外食や娯楽などを楽しみたい場合は、相応の追加費用が求められる」とも言えます。
まとめ
今回は、ベトナムの生活水準を理解するための「4つのデータ」と「在住者の実感」を見てきました。
ベトナムに対する、漠然とした「ベトナムの物価は日本より安い」「経済発展中」というイメージから、「生活必需品は低い水準だが、サービスや娯楽の費用は日本水準」という事がご理解頂けたと思います。
「より具体的にベトナム就職後の生活をイメージしたい」という人は、お気軽にHRnaviのコンサルタントへご相談下さい。
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