日本でも新型コロナウイルスの5類移行により、ようやく「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」に転換しつつあります。現在は、これまで考えていた海外旅行や海外留学、海外就業を検討・実現する方も少なくないのではないでしょうか?
ベトナムも日本と同様に街中では外国人の姿が増え、観光地はコロナ禍と比較して活況さを取り戻しています。今回は、気になるベトナムの「アフターコロナ」の変化について詳しく解説していきます。
2023年10月からグループB疾患へ
政府と保健省の最新の決定により、2023年 10月20日の時点で、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の分類は緩和されています。
これまでの流行状況は?
現在までにベトナムでは4回の大きな流行を経験し、11,624,065人の新型コロナウイルス感染者を記録しています。ベトナムにおける新型コロナウイルス感染症による死者総数は4万3206人で、総感染者数の0.4%を占めています。
これまでの政府の対コロナ政策
・ロックダウンの実施
・区をまたぐ移動の禁止令
・商店や工場などの休業命令
・18時以降の外出禁止令
・軍からの食料品や必需品配給
・公共の場でマスクを着用しない場合は罰金
など、特に2020年3 月下旬から 4 月下旬、2021年7月から10月までの大都市を中心に大規模なロックダウンが実施され、最も厳しい体制がとられていました。出稼ぎ労働者が生活困窮を理由に帰郷する事態が続き、正常化に向けて「労働力不足」が大きな問題としてクローズアップされました。
現在の感染状況は?
保健省は、今年初めから現在までの月間平均感染者数が2022年と比較して1/68(月間約81万6,000人)減少したと発表しました。新型コロナウイルス感染症による死亡率は、ベトナムで一般的に記録されている一部のグループB感染症の死亡率と同等かそれより低い状況です。
また、保健省によると「新型コロナウイルス感染症の症例数は最近急激に減少しており、ほとんどの症例は軽症である」 とのことです。
マスク着用義務や接種証明書は?
ベトナムでは2022年末頃から本格的に旅行客の受け入れが解禁し、多くの外国人観光客が訪れるようになっています。
2023年11月現在、ベトナム入国時における「接種証明書の提出」や「陰性証明書」の提出義務はありません。
街の様子は?
新型コロナウイルスの感染症分類引き下げにより、旅行、観光、会議などが完全に緩和されています。デパートやレストラン等でマスク着用の義務はなく、建物の中ではほとんどの人がノーマスクです。
しかし、バイクに乗る現地の人たちはコロナ禍以前から「防塵・日焼け防止」のためにマスク着用をする習慣があり、バイクに乗っているときはマスクを使う様子を今でもかなり見かけます。
医療機関では、新型コロナウイルス感染症患者が出た場合、別のエリアに隔離されるのではなく、患者が治療を受けている病棟内でのみ隔離されるなど、治療体制も緩やかになっています。
国内の感染症の流行状況やご自身の体調により「マスク着用」が義務付けられる場合があるため、渡航の際は念のためマスクを持参しておくと安心です。
ベトナムコロナ禍での変化
コロナ禍でお店が入れ替わり
パンデミックを受けて「旅行客や外交人客向け」のレストランや商店、土産物店の一部が閉店や休業のままということも。旅行客が戻ってきた現在、営業を再開している店もありますが、新しいお店に入れ替わっている場合もあります。
具体的にホーチミン市内では「旅行客向けのお土産が揃うスーパー」として知られる1区の「サトラマートタックススーパー」は2023年11月現在、閉業中です。
中心街では特にお店の入れ替わりが激しく「数年前の観光ガイドやブログを見た」と訪れたお店が閉店していることもあるため、事前にグーグルマップやFacebookなどで情報を確認しておくと安心です。
新しくオープンしたレストランやカフェ、土産物店もあります。街歩きをして気になるお店にチャレンジしてみるのも楽しみの一つです。
キャッシュレス決済の増加
2022年6月初めにVISA社が発表した消費者の支払い態度に関する調査では、ベトナムの消費者の65%は財布に現金を持ち歩くことが減り、32%がパンデミック後は現金の使用をやめるだろうと答えたそうです。
また、VISAによると「ベトナムのユーザーの 2/3 はパンデミック中にオンライン ショッピングを試み、ユーザーの 1/2 は初めてソーシャル ネットワーキング プラットフォームを通じてショッピングを経験した」ということです。さらに、「消費者の 10 人中 9 人が宅配サービスを利用しており、ほぼ全員がパンデミック前よりも頻繁に利用している」と回答しました。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響により「消費者の80%以上がカード、QRコードによる支払い、電子ウォレットを少なくとも週に1回は利用している。」という調査結果もあります。
ベトナムでは、観光客の多いレストランや大きめの商店やGrab等の配車アプリなどのほとんどの場面で「クレジットカード」等での支払いが可能です。しかし、個人商店や昔ながらのローカルレストランではクレジットカード等の決済が断られることもあるため小額紙幣を持ち歩くと安心です。
現地ではQRコード決済が人気
最近の新型コロナウイルス感染症の流行中、電子顧客識別法 (eKYC) を使用した支払い口座開設に関する規制の導入により、まだ銀行サービスにアクセスしたことのない多くの新規顧客がリモート口座を開設できるようになりました。その結果、QR コード決済は2021 年の同時期と比べて56.52% と 111.62% 増加しました。
州立銀行の統計によると、約 340 万の口座と 130 万枚の新しい銀行カードが電子的方法 (eKYC) を介してオンラインで開設されました。現在、決済アカウントを持つ成人の割合は約 66% で、年々その割合は増加傾向にあります。
コロナ禍でオンラインツールが浸透したこともベトナムのキャッシュレス化が加速した一因であると言えるでしょう。個人商店や小さなカフェでも「MoMo」や「Zaropay」「Moca」などQRコード決済アプリの利用範囲が広がっています。
日本人がこれらの電子決済を利用登録する場合は『ベトナムの電話番号と銀行口座』が必要となるので、基本的に長期滞在者向けとなります。
ベトナム経済の推移
2020年、新型コロナウイルス感染症の抑制による経済活動の早期再開,公共投資の支出促進による成長下支えなどにより,2.91%のプラス成長となりました。
2021年の実質GDP(国内総生産)成長率は2.58%であり、コロナ禍の影響を受け、2011年から21年までの間で最も低い水準となりました。
しかしながら、2022年のGDP国内総生産成長率は8.02%に達し、2011年~2022年までの期間で最高となったとしています。農林水産業が3.36%と安定した成長率となり、鉱工業・建設業が7.78%と前年の2倍近くの成長をみせました。中でもサービス業が9.99%とコロナ禍からの回復を受けてGDPを牽引する成長率となりました。
2023年ベトナム統計総局は9月29日、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(推計値)を前年同期比5.33%と発表しています。 しかし、1~9月の成長率は4.24%にとどまり、2023年当初の政府の通年GDP成長率目標(6.5%)の達成は厳しい見込みとなりました。
2022年はここ10年で一番の成長率となり、コロナ禍の影響を受けてもベトナム経済は堅調に成長を続けているという見方もできます。しかし、2023年の成長率が近年で2番目に低い成長率と望ましいものではなかったことや不動産市場への信頼が依然として回復しないことから不安視する見方もあります。
今後は、外需の回復、外資系企業の参入、電力等のインフラ拡充などで国内経済の更なる活性化を期待する声もあり、引き続き、国際情勢やベトナム政府の動きを確認し今後の見通しを立てていくことが大切です。
まとめ
ベトナムでも苦しいコロナ禍を乗り越え、キャッシュレス決済の広まりなど「ニューノーマル」の時代へと突入しました。今後のベトナムの成長が期待されています。この記事が参考になりましたら幸いです。
ベトナム情報週刊コラム
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- 2025.10.17
- ベトナム人スタッフの問題意識と夢への姿勢を考える
- 多くの日本人管理者が、ベトナム人スタッフに対して問題意識が薄いと感じることが多いのは理解できます。問題意識が低いということは、現状に満足しているか、現状に適応できているため、改善の必要性を感じていないということになります。そのため、仕事においては受け身であり、改善提案や改善活動への意識が生まれにくいのです。ボトムアップ的な経営を目指す理系企業の経営管理者にとって、この姿勢が不思議であり、不満や不可解さを感じるのも無理はありません。 問題は大きく三つに分けられます。まず顕在的な問題は、緊急性が高く誰にでも明らかな課題で、例えば明日の生活費をどうするかといったことです。次に潜在的な問題は、現在の生活には問題がないように見えても、背景にあるリスクが表面化した際にどのような影響があるかを考える必要がある問題です。最後に、自己実現的な問題として、現状に満足してリスク対策を講じているものの、より高次元の目標や夢を達成するために克服しなければならない課題が存在します。 現状に満足し、改善の必要がないと感じることは、精神面では良いことだと個人的に思います。満足しやすく、日常を楽しみやすいことで、最終的には幸福感を得やすくなるからです。しかし「無知の幸せ」という考え方もあります。これは、事故や病気、子育てなどの人生における様々なリスクについてあまり意識せずにいることから生まれる幸福感を指します。つまり、起こり得るリスクを知らない、あるいは無視しているために、今の状況に安心しているのかもしれません。そうではなく、リスクを理解していること自体が問題を認識する第一歩だと言えるでしょう。 日本では四季があり、特に冬には準備や蓄えが不足すると命に関わるリスクが常に存在します。また、自然災害も頻繁に起こるため、日常的にリスクと向き合いながら損害を減らしリスクをヘッジする習慣が身についています。そのため、比較的気候が安定しているベトナムよりも問題意識が高いと考えられます。一方、ベトナムでは社会の発展とともに平均年齢が30代前半となり、親世代の医療費や中年世代の子育てコストなどがより意識されるようになってきています。社会の発展に伴い、物価の上昇とともに問題意識も高まっていくでしょう。 裕福な家庭や一定の地位と収入がある中間管理職に関しては、生活リスクから解放されているため、夢を尋ねると多くの人が早期退職を挙げます。早期退職後の希望は、遊ぶことやゆっくりすること、農業や世界一周旅行など、楽しみに関するものが多いです。それを見ると、今の仕事はそれほど苦労が多いのか、楽しめないのかと疑問に感じます。また、多くの人にとって仕事は自己実現の手段ではなく、稼いだお金で好きなことをするための手段になっているように見えます。しかし、遊びもすぐに飽きが来るものであり、それだけで満たされるわけではないと私は思っています。それでも、早期退職は一つの大きな夢として広く認識されています。 日本のメディアでは「日本一」や「日本初」といった言葉がよく使われ、プロジェクトXのようにチームで達成する夢が称賛されがちです。一方、ベトナムでは「ベトナム一」という言葉も使われますが、普通のものを努力して作り上げた結果に関することが多く、例えば大きなラーメンや仏像といった、人々の夢とは直接関係のないものが中心です。 また、日本では仕事の話が職場外の集まりでも行われることが一般的ですが、ベトナムではオフ会はリラックスするための場であり、仕事の話をするのはタブーとされています。仕事の話を持ち込む人は、雰囲気を壊しがちで、周りから敬遠されることが多いです。こうした状況から、個人レベルで夢を語り合い、高次元の目標を共有して応援し合う文化はベトナムではまだ希薄だと感じます。 とはいえ、ベトナムのような開発途上国では、大きな夢を持つことは一般的に難しいとされています。社会や政治的にも「出る杭は打たれる」風習が根強く残っており、大きな夢を持つことは無謀だと見られがちです。しかし、約30年前に日本に留学した際、日本の若者が音楽バンドやストリートアートに情熱を注ぎ、夢を追いかける姿にとても憧れを感じました。そのような人々が自分の夢を追いかけることで、周囲に与える影響は非常に大きいと実感しました。 現在のベトナムでも、バンドや伝統芸能、コメディアングループなどが増えつつあり、夢を追いかけながら生計を立てることが可能な状況になりつつあると感じています。生活がだんだんと安定してくることで、ベトナム人も夢を本気で追うことができるようになるでしょう。若い世代やサラリーマン世代でも、会社の中で夢を語る機会が増えてくるのではないかと思います。 もちろん、若い世代に期待するだけでなく、今の中間管理職も自ら行動し、仕事の中で自分の夢を見つけることが大いにプラスになるはずです。どのようにすれば夢を持って挑戦する意識を育てられるかについては、今後さらに考察したいですが、夢を持つことの重要性を改めて強く感じています。
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- 2025.10.17
- ベトナムドンの将来性
- 外国為替市場は、世界最大の金融市場であり、毎日、数兆ドルの取引が行われています。外国為替市場は、各国の経済状況や政治情勢など、様々な要因によって影響を受けますが、近年では、デジタル化や規制緩和などの動きも見られ、今後もますます拡大していくと予想されています。 その中でもベトナムドンは、国際的に見てまだまだマイナー通貨であるため、情報が少ないです。 インターネットやスマートフォンの普及により、旅行や外国為替取引がより容易になりましたが、旅行に行こうにも、仕事で行こうにも現地通貨の情報が少ないのは不安ですよね。 そこで、本記事ではベトナムドンの将来性や特徴についてご紹介していきます。 いかにも危険そうに聞こえますが、結果として世界中がベトナムドンに注目する良い機会になりました。 1993年から2011年まで、19年連続で貿易赤字を計上していたベトナム。しかし、2016年以降は、6年連続で貿易黒字を計上しています。これは、ベトナム経済が成長し、輸出が拡大したことによるものです。 著しい成長が目立ったのか、2020年12月、米国財務省はベトナムを為替操作国に指定しました。 これは、ベトナム政府が通貨ドンを不当に安く評価し、米国の輸出を不利にしていると判断したためです。しかし、ベトナム政府は、為替介入は為替レートを安定させるための措置であり、米国の貿易赤字とは無関係であると米国の指摘は根拠がないと反論しました。 よって、2021年4月、米国財務省は、ベトナムが為替介入を実施しているという証拠は不十分であると判断し、ベトナムを為替操作国から除外しました。 そして、米国は引き続きベトナムを監視し、双方の意見交換を継続していく方針を示したものの、最終的に2021年12月、ベトナムには為替操作国に該当しないという評価を下しました。 ベトナムが為替操作国から除外されたことで、ベトナムへの内、外需からの投資が活発化することが期待されています。 米ドルの動きを見れば、ベトナムドンの動きも予想することができると言われるように米ドルと強い結びつきのあるベトナムドン。 ベトナムドンの発行量は、2023年6月現在で約1,110兆ドン(約5兆円)です。ベトナムドンの対米ドル為替レートは、2023年6月現在で約23,000ドン/ドルです。 米ドルが円高になった場合、ベトナムドンは円に対して下がる傾向があります。これは、米ドルの価値が上がると、ベトナムドンの価値が相対的に下がるためです。逆に、米ドルが円安になった場合、ベトナムドンは円に対して上がる傾向があります。 事実上(※1)ドルペッグ制と(※2)管理フロートを採用しているベトナム。そのため、ベトナムドンは米ドルの動きとほぼ連動しています。 米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの加速を背景に、2022年より下落傾向となっているが、FRBは、インフレを抑制するため、利上げを継続しており、これは、ドルの価値を高め、ベトナムドンの価値を下げる要因となっていました。 (※1) ドルペッグ制 ドルペッグ制とは、自国の通貨を米ドルに固定する為替相場制度です。ベトナムは、1978年にドルペッグ制を導入し、現在も継続しています。 為替相場の急激な変動を心配する必要がなくなるので、これは、企業の輸出入や投資活動にとって、非常に重要です。 ベトナム経済の発展に重要な役割を果たしているドルペッグ制は、為替相場の安定を図り、ベトナムの輸出入を拡大し、経済成長を促進しました。 (※2) 管理フロート 管理フロートは、為替相場を決定するための制度の一つで、自国の通貨の変動幅を固定し、その幅の範囲内で各国通貨が自由に取引される制度です。 通貨の変動幅は、ベトナム中央銀行によって管理されます。 こちらも、為替相場の急激な変動を防ぐため、また、自国の経済を安定させるために採用されています。 ベトナムでは、この制度により、ベトナムドンの大きな値動きを防ぐことができています。 ベトナムドンと日本円は日々変化していますが、これは日本円と米ドルの動きとほぼ同じです。 また、ベトナム政府は為替操作国から除外されたことを機に、為替政策の透明性を高め、為替市場の安定に努める方針です。 為替相場が安定していることは、企業の輸出入や投資活動にとっても非常に重要ですが、なによりベトナム国民の生活の安定につながります。 ベトナムドンの将来は、当然、ベトナムの経済成長と為替政策に左右されます。 ベトナムの経済成長は、近年堅調で、2021年のGDP成長率は7.5%と、世界平均の5.7%を上回りました。ベトナムの経済成長を支えているのは、以下の3つの要因が大きいです。 労働力人口の増加 輸出の拡大 外国投資の増加 ベトナムには、6,800万人以上の若い労働力人口がおり、この労働力人口の増加は、ベトナムの経済成長の原動力となっています。 また、ベトナムは、中国に次ぐ世界第2位の靴の輸出国であり、衣料品や電子機器などの輸出も拡大しています。さらに、ベトナムは、中国の台頭により、外国投資先として注目されています。 国際通貨基金(IMF)は、ベトナムの2022年のGDP成長率を6.5%、2023年のGDP成長率を7.0%と予測しています。ベトナムの経済成長が続くことで、ベトナムドンの価値も高まると期待されています。 ただし、ベトナムの経済成長には、いくつかの課題もあります。ベトナムのインフレ率は高く、2022年1月時点では6.4%となっています。インフレ率が高いと、ベトナムドンの価値が目減りする可能性があります。 また、ベトナムの財政赤字も懸念されています。ベトナムの財政赤字は、2021年にはGDPの4.7%に達しました。財政赤字が拡大すると、ベトナムドンの信頼性が低下し、価値が下落する可能性があります。 これらの課題はあるものの、ベトナムの経済成長は、急速に進んでおり、今後もその成長は続くと予想されています。そのため、ベトナムの経済成長は堅調であり、ベトナムドンの将来性も明るいと言えるでしょう。 この成長率は中国、インドに次ぐアジアで最も高い成長率です。この経済成長を支えているのは、製造業、観光業、農業などの分野です。製造業では、自動車、電子機器、衣料品などの生産が拡大しています。 観光業では、ベトナムの美しい自然や文化が観光客に人気を集めています。農業では、米、コーヒー、カシューナッツなどの生産が盛んです。 上記の通り、ベトナムの経済成長は堅調であり、やはり、ベトナムドンの将来性も明るいと言って良いでしょう。 生活に欠かせない食費について紹介します。ローカルのスーパーマーケットで購入できる、食品の価格相場です。こちらが現在のレートで計算した商品の価格相場です。 商品 価格相場 (VND) 価格相場 (JPY) ミネラルウォーター (500ml) 5,000 30 ジュース (500ml) 10,000 61 牛乳 (1L) 20,000 122 卵 ...
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- 2025.10.16
- 【ベトナム経済】現在のGDP成長率になるまでの歴史...
- 自分の育った国でも案外と知らない「歴史と経済」 歴史と経済は、無縁なようで私たちの生活に密接に関係しています。経済は、歴史の中でどのように変化し、経済は、歴史にどのような影響を与えてきたのでしょうか? 私たちの生活は「歴史」、つまりは過去の出来事によって形作られています。 歴史は主に国家や文明など人間の社会を対象とする文章や記録、その出来事のことで、例えば、私たちが使っている言葉や文化、法律、制度なども、すべて過去の出来事によって生まれてきました。 そして「経済」とは、物やサービスの生産、流通、消費などの総称です。経済も私たちの生活に密接に関わっており、経済の仕組みを理解することは、私たちの生活を豊かにする上で重要です。 このブログでは、難しくて敬遠しがちな歴史や経済を基礎から解説することで、ベトナムの歴史への理解を深め、経済の動向を把握するお手伝いができれば幸いです。 ベトナムの歴史は、約4000年の歴史があると言われており、ベトナム人の祖先は、紀元前2000年頃に中国からベトナムに移住して来たそうです。 紀元前1世紀に成立した紅河文明は、ベトナム北部に栄えた青銅器時代の文明で、中国の支配を長い間受けたこともあり、中国の黄河文明の影響を強く受けていました。 紅河文明の衰退後、ベトナムには、漢、唐、宋、元、明、清などの中国王朝が侵攻し、ベトナムは中国の属国となりました。 しかし、ベトナム人は中国の支配に抵抗し、1428年には、黎朝を建国して独立を果たし、その後、ベトナムは多くの王朝が続くことになります。 黎朝(れいちょう)とはベトナムの王朝の一つ。 前黎朝と後黎朝とがあるが、一般に後者をさす。 1428年、黎利が明の支配を脱して建てた王朝で、ハノイを首都とし、国号を大越とした。 1527年、臣の莫登庸によって王位を奪われ、1533年復興したが、以後ハノイの鄭氏とユエの阮氏との抗争を経て、1789年西山党の阮氏によって滅ぼされた。 ※参考文献;goo辞書 黎朝は、ベトナム文化の黄金期を築き、ベトナム語の文字であるチュノムや、書道を確立させて行きます。ベトナムで有名なアオザイもこの頃から発展したと言われています。 アオザイとは、ベトナムの伝統衣装です。中国のチャイナドレスから派生した通常、シルクや綿などの生地で作られる膝丈のワンピースです。 ベトナムの文化と伝統を象徴する衣装として、ベトナムの女性の間で人気があり、日常生活やフォーマルな場面でも着用されています。 いくつかの種類がありますが、最も一般的な種類のアオザイは、単色の布で作られたアオザイです。また、花柄や模様の入ったアオザイもあります。 そしてベトナム王朝は、1800年代後半、フランスがスペインと共にベトナムへの攻撃を開始し、占領しを植民地化したことにより幕を閉じます。 その後は、ベトナム史上最も悲しい出来事が起こります。 そう、ベトナム戦争です。 ベトナム戦争は、1954年から1975年まで続いた戦争です。 フランスの植民地時代から独立を勝ち取ろうと戦っていたベトナム北部と、アメリカの支援を受けたベトナム南部との間で戦われました。ベトナム戦争は、アメリカにとってもベトナムにとっても大規模な死傷者を出した戦争であり、その影響は現在まで続いています。 ベトナム戦争のきっかけは、1954年にインドシナ戦争でフランスが敗北したことだと言われています。 ベトナム建国の父と呼ばれ、現在までベトナム国民に愛されているホーチミンさんの活躍があって、ベトナム独立が叶いました。 フランスがベトナムを去った後は、北ベトナムと南ベトナムでは共産主義を掲げる北ベトナムと、反共主義を掲げる南ベトナムとの間で対立が深まりました。 アメリカは、ベトナム南部が共産主義化されるのを防ぐために、南ベトナム政府を支援しました。 ベトナム戦争は、1965年にアメリカ軍が本格的に参戦したことで激化し、アメリカ軍は、北ベトナムへの空爆や南ベトナム軍への地上支援を行いました。しかし、ベトナム戦争は泥沼化し、アメリカ軍の死傷者も増加していきます。 1968年には、ベトナム共産党が南ベトナム全土で大規模な攻勢をかける「テト攻勢」が行われました。この攻勢は失敗に終わりましたが、アメリカ国内でベトナム戦争に対する反対運動が広がっていきました。 1973年、アメリカはベトナムから撤退しました。しかし、ベトナム戦争はその後も続けられ、1975年にベトナム共産党が南ベトナムを制圧して戦争は終結しました。 ベトナム戦争は、アメリカにとってもベトナムにとっても大規模な死傷者を出した戦争です。アメリカ軍の死傷者は約58,000人、ベトナム人の死傷者は約300万人と推定されています。ベトナム戦争は、アメリカ国内に大きな反戦運動を引き起こし、アメリカの国際的地位にも影響を与えました。 20世紀の最も悲惨な戦争の一つであるベトナム戦争は、私たちに平和の尊さ、そして戦争の悲惨さを今もなお教えてくれています。 ドイモイ政策(ベトナム語:Đổi Mới)は、1986年にベトナム共産党が打ち出した経済改革政策です。 社会思想において新方向への転換を目指すものにあたるので、直訳すれば「新しい物に換える」となります。日本語では日本語では「刷新」や「改革」と訳されます。 ドイモイ政策以前のベトナムは、ソ連型の計画経済を採用していましたが計画経済は効率が悪く、経済成長が停滞していました。そのため、ベトナム共産党は、ドイモイ政策を打ち出し、市場経済への移行を開始しました。 ドイモイ政策の主要な内容は、次のとおりです。 農業生産の自由化 農業分野における規制を緩和し、自由な競争を促進することです。これにより、農業生産の効率化が図られ、農業価格の低下が期待できます。 企業の民営化 政府が所有する企業を民間に売却したり新たに法人を設立することです。企業の経営効率化が図られ、経済成長につながることが期待できます。 外国投資の受け入れ 外国からの投資を呼び込むことです。これにより、外国企業の技術やノウハウが導入され、経済成長につながることが期待できます。 インフラの整備 道路、鉄道、電力、水道などのインフラを整備することです。企業活動や生活の利便性が向上し、経済成長につながることが期待できます。 教育・医療の改善 教育水準や医療水準を向上させることです。これにより、労働力の質が向上し、経済成長につながることが期待できます。 ドイモイ政策は、ベトナムの経済成長に大きな効果をもたらしました。1986年以降、ベトナムの経済成長率は年平均7%で成長し、世界でも有数の経済成長国となりました。また、ドイモイ政策により、ベトナムの貧困率は大幅に減少しました。 1995年にASEANへの加盟を果たしたベトナム。国際社会への協調を強めヒト・カネ・モノの稼働がより自由になりました。 ベトナムの社会にも大きな変化をもたらし、市場経済の導入により、人々の生活水準は向上し、自由な経済活動が活発になりました。また、ベトナムは国際社会に積極的に参加し、国際的な地位を高めています。 ドイモイ政策は、ベトナムにとって大きな成功を収めた経済改革政策です。ドイモイ政策により、ベトナムは経済成長と貧困削減を達成し、国際社会で重要な役割を果たす国へと成長しています。 ベトナム経済は、インフレや金利上昇、世界経済の減速などの逆風にもかかわらず、堅調に推移しています。 特に、海外から高度な人材・技術・豊富な資金を呼び込む対内直接投資は堅調に推移しており、工業部門や建設部門の生産を下支えしています。 自動車販売台数は大きく鈍化するなど金利上昇が足かせとなっている動きもみられますが、農林漁業関連も大きく底入れの動きを強めており、生産全体は上向きです。 また、国境再開を追い風に外国人観光客数は増加しており、観光関連や小売関連を中心にサービス業の生産が再開し、業界としても上向きな傾向です。 インフレや金利上昇、世界経済の減速などの影響はあるものの、ベトナム経済は、コロナ禍の影響を完全に克服し、勢いを取り戻しています。 実質GDPの水準は、コロナ禍の影響が及ぶ直前の2019年末時点と比較して15.6%上回っており、昨年通年の経済成長率は8.02%と1997年(8.15%)以来の高い伸びを記録しました。 これは、ベトナム政府の経済政策が功を奏していることを示しています。世界経済の動向や原油価格など、不透明な要因が多く、予断を許さない状況ではありますが、ベトナム経済は、今後も成長を続ける可能性が高いと考えられます。 ベトナムではもともと外国人による不動産購入が認められていませんでしたが2015年7月1日、ベトナムの不動産事業法および改正住宅法施行されビザを所有したすべての外国人による不動産の所有が可能になりました。 今までの法律では一定の条件を満たした外国人しか購入ができず、所有期間は50年間、居住目的のみ購入が可能でしたが、改正法では賃貸目的での購入をみとめ、所有の期間も50年間と延長アリに緩和されました。 ただし、ベトナムでは不動産、土地に関する法律や制度はかなり複雑であり、頻繁に変更される政策や運用、法の規定の修正を正確かつ適時に理解することは、簡単なことではありません。 ※「不動産事業法および改正住宅法」については専用の記事を掲載予定です。 こうしたベトナム不動産制度・規制の複雑さを回避するために多くの日本人含む外国人投資家や個人や投資家の中には知り合いや共通の友人を介しベトナム人の名義を借りて不動産を購入するなどの方法で、不動産投資をするケースも見受けられます。 名義借しによる不動産投資は、トラブルを誘発し、結果として不動産投資が失敗に終わるケースも多いので、十分に留意してください。 この改正法は、有効な手段の一つで、結果的に多くの日本人含む外国人投資家を呼び込み海外資本が流れ込み、経済が動き出したのも事実です。ベトナム経済の大幅な底上げを図りました。 ...