ベトナム就職を検討している人から、当社HRnaviが多く受ける質問の1つとして「現地での生活費」があります。
ベトナム生活や海外就職が初めての人にとって、「お金事情」は気になるテーマでしょう。
そこで今回は、
- ベトナムでの生活費はいくら必要?
- ベトナムでも、日本並みの生活をしたい。
- できれば、日本より快適な生活を送りたい。
- ベトナムで貯金はできる?
といった疑問にお応えします。
ベトナムの生活費にまつわる、よくある質問「4つ」を解説。
本記事の結論は以下の通りです。
ベトナムでは「日本より低い金額」で、「日本と同じレベルの生活」を送ることができる。
やりくり次第で「日本よりも快適」な生活を送りながら、「日本以上に貯金」もできる。
この結論をご理解頂くため、以下に「4つの質問」と、その回答をご紹介していきます。
今回の記事を読み、少しでも「ベトナムでの生活費」に関する不安が解消され、ベトナム就職を決断する後押しとなれば幸いです。
1つ目「ベトナムで『最低限必要』な生活費は?」
結論から言うと、月収で約1,000ドル(約130,000円)です。
つまり、月収12ヶ月分を合計した「年収」で言うと、「約12,000ドル(約1,560,000円)」あれば「日本並みの生活水準」で生活が可能です。
ハノイやホーチミンなどの都市圏にて在住する、在住者複数人の経験に基づくと、1人暮らしの生活費の内訳は以下の通りです。
- 家賃 400ドル
- 食費 300ドル
- 光熱費 50ドル
- 通信費 5ドル
- 交通費 20ドル
- 娯楽費(週2,3回の外食を含む) 200ドル
- 合計 975ドル
「最低限」な生活に必要な「3つ」の要素
ここでいう「最低限の生活」は、以下のように定義します。
- 日本人が「快適」と思うレベルの家に住む
- 食事は自炊が基本だが、1日3食しっかり食べる
- 週に2,3回は、外食で日本食を楽しむ
- その他、過度な節約はしない。
家については、「月額200ドル未満」の物件もあります。
しかし、そういった家の環境は、日本で生まれ育った人にとっては、厳しい環境です。
場所と探し方次第では、300ドル前後(ホーチミンのNguyen Thi Minh Khai通り、ハノイのMy Dinh地区など)でもキレイな家を見つけられますが、余裕を持った予算として「400ドル」をご紹介しています。
また、食費については、過度な節約はしないことを想定しています。
自炊を基本とし、外食も週に複数回楽しむことができる予算です。
もちろん、自炊の内容や外食の回数により、より金額を抑えることもできるでしょう。
若手現地採用の平均月収「1,500ドル」で貯金も可能
一方で、弊社HRnaviが15年、ベトナムで運営してきた経験によると、ベトナムの若手現地採用の人は、「月の給与収入1,500ドル」で働き始める人が多いです。
この「給与収入」とは、「会社から支払われる給料の総額」を意味します。
つまり、所得税や社会保険料、給与所得控除は、反映する前の金額です。
したがって、ベトナム就職で稼ぐ収入で、十分貯金が可能ということが分かります。
「最低限の生活」で手放すこと
反面、先程ご紹介した「最低限の生活」を送るには、手放さなければ行けない事もあります。
- 週4回以上の外食
- 費用を気にせず飲み会に参加すること
- 旅行
- 買い物
人によっては「日本で過ごすよりも我慢が多い」と感じるかもし、「日本での生活と変わらない」と感じる人もいるでしょう。
逆に言えば、上でご紹介した金額「約1,000ドル」を超えた収入を得られれば、上記4つを快適に楽しむことができるのです。
以上が、「最低限」の生活に必要、と現地生活8年を通して、筆者が実感する金額です。
ここでお伝えしたいことは、繰り返しとなりますが、「最低限の生活」を送るために必要な金額です。
過度な節約や我慢はせず、毎日の仕事と生活を楽しめるレベルです。
とは言え、せっかく海外生活を送るので、「日本よりも良い暮らしをしたい」という人もいるでしょう。
次の章では、「日本以上の生活」を送るのに必要な生活費を見ていきます。
2つ目「ベトナムで『日本以上の生活』を送るのに必要な生活費は?」
以下の様に、「月額 約2,100ドル」で「日本以上の生活」を送ることができるでしょう。
こちらも在住者複数人と、筆者の経験に基づき、「単身者」を想定した試算です。
- 家賃 700ドル
- 食費 400ドル
- 光熱費 50ドル
- 通信費 5ドル
- 交通費 50ドル
- 娯楽費(週5回の外食を含む) 500ドル
- 買い物・旅行 400ドル
- 合計 2,105ドル
「日本以上に快適」となる3つの点
この試算で、「日本以上に快適」となる点は、以下の3点です。
- 家に洗濯・掃除サービス付き、プール・ジムが併設。
- 外食や飲み会に、快適に行ける
- 毎月、買い物と旅行も楽しめる
特に1つ目の「洗濯・掃除サービス付き、プール・ジムが併設」については、日本では得にくいサービスではないでしょうか。
また、2つ目については、日本食レストランやバーなど、「日本レベルの味とサービスのお店」に快適に行けることを想定しています。
その上、ベトナムの物価が日本より若干低いことから、日本と同じレベルの飲食を、安価に楽しめるのです。
このように、日本の新卒者が得られる給与水準で、日本以上の生活レベルを楽しめることが分かります。
3つ目「ベトナムで生活費を節約するコツは?」
よくある質問の3つ目は、「ベトナムで生活費を節約するコツは?」です。
以下の3つが挙げられます。
- ベトナムで増えがちな費用3つを管理する
- ベトナムならではの費用を、計画的に貯める
- 日本で掛かる費用は、日本の口座から払う
順番にご紹介します。
節約のコツ1つ目「ベトナムで増えがちな費用3つを管理する」
1つ目のコツは、「ベトナムで増えがちな費用3つを管理する」です。
1ヶ月の生活費は、ライフスタイルや境遇、住む場所によって千差万別です。
一方、先にご紹介した2つの生活費のモデルを見ても分かる通り、「家賃」「食費」「交際費・娯楽費」が大部分を占めています。
よって、これら3つの費用を管理することで、トータルでの支出も抑えられるでしょう。
それぞれに関して「ベトナム特有の状況」と「節約のコツ」を見ていきましょう。
家賃
家賃節約のコツは、「ベトナム人のツテやSNS、ベトナム人向けウェブサイトを活用して物件を探す」です。
前提として、これから紹介する例は、家賃が「自己負担の場合」です。
(現地採用でも、会社の福利厚生として、会社側が家賃を負担するケースもあります。)
ベトナムで賃貸物件を探す方法は、「不動産仲介会社経由」「家主を直接探す」の2種類あります。
日本と同じ様に、不動産仲介会社は豊富な物件の選択肢がある、手厚いサポートがある等のメリットがあります。
ただ、家賃などの価格は若干高めのケースが多いです。
よって、ベトナム人のツテや、SNS、ベトナム人向けのウェブサイトなど、他のチャンネルも活用して物件を探してみると良いでしょう。
割安でも良い物件を探し当てられる可能性があります。
具体的には、社内のベトナム人に相談する、Facebookグループで事前に物件を見てみる、ベトナム語の賃貸物件サイトを活用するなど、です。
とは言え、素早さやサービスでは不動産仲介会社、特に日系の会社が断然良いことは間違い有りません。
時間に余裕のある人は、上記方法を利用し、より家賃を抑えた物件を見てみると良いでしょう。
食費
次の食費節約のコツは、「ベトナムローカル料理を選ぶ頻度を増やす」「自炊中心にする」ことです。
ベトナムでは外食産業はもちろん、デリバリーも発達しているため、全く自炊せずに生活することも十分可能です。
しかし、日本食の値段は、レストランやデリバリー共に、概して日本並みの値段が掛かってしまうのです。
仮に朝を抜いた1日2食を外食かデリバリーにすると、1食1000円だとすれば、1ヶ月で1000円×2食×30日=60,000円掛かる計算です。
上記試算は「日本食」を利用した場合なので、ベトナムのローカル料理であれば安価に済ませられるでしょう。
1食250円〜500円程度で済みますので、費用を抑えられます。
また、自炊中心の生活にすることでもより節約が可能です。
別な記事でも述べた通り、「ベトナムの食料品の価格は、日本の2分の1から3分の2程度」であるからです。
更に、ハノイやホーチミンの都市圏であれば日本の調味料も手に入るため、和食の調理も可能です。
もし食費を抑えたいなら、「ベトナムローカル料理」「自炊」をうまく取り入れると良いでしょう。
交際費・娯楽費
3つ目の「交際費・娯楽費」節約のコツは、「1ヶ月の予算を決めておく」です。
ベトナム現地で触れ合う日本人との食事や飲み会、ゴルフなどの費用がかさみがちである為です。
「日本では知り合えない人と、ベトナムにて交友関係を広げられる」ことは、ベトナム就職の醍醐味の1つです。
しかし、交流にかかる費用が増え過ぎてしまうことにも注意しなければなりません。
食事については、日本食レストランやバーの価格は日本と変わらないですし、ゴルフ場の価格設定は、平均で1万円以上と、決して安くはありません。
交際費・娯楽費は、事前に1ヶ月の予算を決めて楽しむことで、使いすぎを防ぐことができるでしょう。
以上、節約のコツ1つ目は、「ベトナムで増えがちな費用3つを管理する」です。
節約のコツ2つ目「ベトナムならではの費用を、計画的に貯める」
コツの2つ目は、「ベトナムならではの費用を、計画的に貯める」です。
日本では掛からないベトナムならではの費用として、以下の2つが挙げられます。
- 医療保険料
- 日本への一時帰国費用
どちらも、多くの場合1年に1回掛かる費用です。
よって、これらを計画的に貯めておくことで、出費を管理し、抑えることができるでしょう。
ただし、上記2つは「会社が負担」するケースがあります。
特に日系企業では、福利厚生に含まれている事が多く見受けられます。
反面、日本以外の外資系企業や、ベトナム系企業では自己負担の場合もあります。
もし「会社負担」であれば心配は要りませんが、「自己負担」の場合は、金額を把握し、計画的に貯めておくと良いでしょう。
節約のコツ3つ目「日本で掛かる費用は、日本の口座から払う」
コツの3つ目は、「日本で掛かる費用は、日本の口座から払う」です。
当てはまる費用としては、「年金保険料」「奨学金の返済」が挙げられます。
これら「日本の銀行口座経由での支払い」が求められる費用を、ベトナムの銀行から毎月送金して支払う場合、1年通算で見た際の手数料が、非常に大きくなってしまうからです。
対策としては、以下2つの方法が考えられます。
- 次の帰国予定までに掛かる金額を、事前に日本の銀行口座に用意しておく。
- 親族や知り合いに、毎月の返済分を建て替えてもらう。
上記の方法を取ることが難しいという場合は、「数カ月分は銀行口座に入金の上、数ヶ月に1回まとめて送金する」事も可能でしょう。
ただし、「年金保険料」の場合は、日本の住民票を除籍し「海外在住者」となることで、年金保険料支払い義務の対象から外れる事も可能です。
とは言え、将来の受給金額は下がってしまいますので、ご自身の将来設計に合わせて、判断しましょう。
4つ目「ベトナムで貯金は出来ますか?」
よくある質問の4つ目は、「ベトナムで貯金は出来ますか?」です。
結論から言うと、「可能」です。
まずは、本記事でご紹介したよくある質問1つ目「最低限の生活に必要な金額」を把握しましょう。
その上で、よくある質問3つ目「ベトナムで生活費を節約するコツ」を実践することで、十分貯金をすることができるでしょう。
まとめ「ベトナム就職で、日本以上に自由なお金を増やす事も可能」
今回は、ベトナムの生活費にまつわる「よくある質問4つ」をご紹介しました。
ベトナム就職で、日本以上に自由なお金を増やす事も可能であることが、ご理解頂けたと思います。
今回の記事が、「ベトナムでの生活費」にまつわる不安を和らげ、ベトナム就職へより前向きになって頂ければ幸いです。
ベトナム情報週刊コラム
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- 2025.10.21
- 【ホーチミン編】生活用品はどうしたらいい?
- 本記事では、ベトナムの南部ホーチミン市で暮らす際の生活用品の種類や価格、購入できる場所について解説していきたいと思います。 どんな生活用品が必要なのか? どこで購入できるのか? 日本から持ち込んだ方がよい生活用品は? ホーチミン市の年間平均気温は30℃前後で、常夏の街です。また、4月~10月頃が雨季、11月~3月頃が乾期といったように雨が多く降る時期とそうでない時期の2シーズンに分けられています。 雨季といっても日本の梅雨のように「ずっと雨が降り続く」というわけではなく、いわゆる「ゲリラ豪雨」のような雨が30分~1時間程度続くというような天候が多いです。まれに雨が降り続いた場合は浸水する箇所がありニュースになることもあります。 © WeatherSpark.com © WeatherSpark.com 日本 100V(Aタイプコンセント) ベトナム 220~240V(Cタイプコンセント) 日本で使っている電化製品をそのままベトナムで使おうとすると、コンセントが合わなかったり壊れてしまったりことがあるため、コンセント変換プラグを準備し、変圧器が必要かどうか事前に確認する必要があります。特に大型の家電の場合は、変圧器の容量の確認が必要になります。 入居する住居に「掃除サービス」や「洗濯サービス」が付いている場合は、掃除用品や洗剤などを購入する必要はありません。「ベッドメイキングサービス」が付いている場合は、シーツを洗う手間もかかりません。こういったサービスが付いていると面倒な家事が減った分、自分の時間に充てられそうです。 また、日本人向けの住居は食器や調理器具、家具、家電が据え置きされているところが多く、入居してすぐに生活を始められるところがほとんどです。 したがって、ほとんどの方が必要になるのは、 各種消耗品 据え置きされていない小物や家電 こだわりの日用品 が多いのではないでしょうか。 ホーチミンの中心部から車で20分ほどの場所にある、ホーチミンのコストコといわれる「MM メガマーケット アンフー」で実際に調査してみました。こちらは、ホームセンターのように日用品から食品、衣料品、文具、バイク用品など幅広い品揃えが特徴です。ホーチミンに住む日本人の方もよく買い物に来るスポットです。(おおよその価格を、1円≒168VND換算で表記。) パンテーンやダウ、クリアなどがありました。値段は130000~270000VND(約771~1601円)です。 ボディーソープはダヴやジョンソンアンドジョンソン、ライフブイがありました。およそ132000VND(約782円)~。 石鹼は一つおよそ13000VND(約77円)~。ライフブイ(lifebuoy)はホーチミンでよく見かける商品で、ボディーソープや石鹼、ハンドソープなど幅広く展開しています。 ハンドソープは64000VND(約379円)~。450gと大容量なのでしばらく使えそうです。 ボディタオル79000VND~(約468円)やボディスポンジ41000VND(約243円)~。こちらも好みによって選べるほど品揃え豊富です。お風呂の桶は30000VND(約177円)でした。 ドライヤーが199000VND(約1182円)~。 シャンプーなどの収納棚が183000VND(約1085円)~でした。スーパーですが浴室用雑貨も充実していますね。 歯磨き粉は約18000~92000VND(約106~525円)。歯磨き粉もアクアフレッシュなど日本人にお馴染みのブランドがあります。歯ブラシは32000VND(約189円)~。 キッチンスポンジが26000VND(約154円)~。 食器用洗剤が23000VND(約136円)~。写真の食器用洗剤も800gとこちらも大容量です。 キッチンペーパーが24000VND(約142円)~。 東芝の炊飯器が699000VND(約4150円)。ベトナム人も炊飯器を使うので、初めからお部屋に設置されていることも。ちなみに、電気ケトルは99000VND(約588円)~。 こちらの食品保存容器が45000VND(約266円)~。しっかりとした作りで頑丈そうです。フライ返しなどの調理器具が87000VND(約515円)~。 お皿が19000VND(約112円)~。 洗濯洗剤はアリエール、OMOが主に売られています。120000~230000VND(約714~1369円)。縦型洗濯機用、ドラム洗濯機用と用途が分かれています。香りはフラワー系の香りやパウダー系の香りが人気のようで、種類も様々です。 柔軟剤入り洗剤は日本でもお馴染みのダウニーが210000VND(約1250円)。衣類用消臭剤が99000VND(約589円)でした。 大きな衣類物干しが599000VND(約3566円)~。乾燥機付きの物件が多いようですが、部屋干しや外干しが必要になったときでも調達可能です。この他にハンガー10本セットが39000VND(約232円)~。アイロン台が399000VND(約2375円)~でした。 メガマートオリジナルブランドのトイレットペーパーが6個入55000VND(約327円)でした。 こちらにはよくデパートなどで見かける業務用のトイレットペーパーが。700gで37500VND(約223円)でした。品揃えに圧倒されてしまいます。 トイレ用洗剤が27000VND(約160円)~。トイレに入れるだけのタブレットタイプの洗剤もありました。 トイレ用たわしが50000VND(約297円)。 トイレの芳香剤も種類が豊富で30000VND(約178円)~。 床用のモップが120000~200000VND(約714~1190円)。マイクロファイバーのふきんを使って床掃除をする場合がほとんどのようです。 ゴム手袋が30000VND(約177円)~。 髭剃りが35000~240000VND(約208~1428円)。 シェービングフォームが86000VND(約512円)。一般的なスーパーではこちらの商品をよく見かけます。 日本のソフィーやロリエといった商品が多く並んでいます。普通の日用20枚入りが32000VND(約190円)~。 コットンが80枚入りで23000VND(約137円)~。メイクアップ用品をメガマートで見つけることができませんでした。コスメ用品はホーチミン市内のドラッグストアで多く扱っており、日本のキャンメイクやセザンヌ、ケイト、資生堂など馴染み深い商品も多数ありますのでご安心ください。スーパーによっては日焼け止めやリップクリームなど取り扱っていることがあります。 ポケットテッシュ10個入が26000VND(約155円)ボックスティッシュが3個組で29000VND(約232円)~。 ベビー用品として販売されていますがウエットシートが29000VND(約172円)~。 ベトナムでは飲み薬や湿布、塗り薬などは、スーパーでは購入できず一般的には薬局で購入するようです。薬局で症状を伝えると簡単に一回分から処方してもらえるそうです。今回調査した「MM メガマーケット ...
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- 2025.10.20
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- 海外移住をする際に検討する項目の一つが、“住民票を抜くか否か” 住民票を残しておかなければ、受けられないサービスはあるのだろうか?逆に住民票を抜いてしまったら、何か問題はあるのだろうか? そのような渡航前の住民票に係る疑問を解消すべく、こちらの記事では住民票を抜くことによるメリット・デメリットを紹介します。 『それぞれのメリット・デメリットがよく分からない。』『自分はどうするのが最も適しているのだろう?』と、お悩みの方は是非こちらの記事を参考にしてみてください。 住民票とは『住民基本台帳』を指し、氏名、生年月日、性別、住所などが記載された住民票を編成したもので、住民の方々に関する事務処理の基礎となるものです。 下記の通り、国民保険や手当、年金の受給などに深く関わり、日本に住むうえで重要な情報となっています。 選挙人名簿への登録 国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険、国民年金の被保険者の資格の確認 児童手当の受給資格の確認 学齢簿の作成 生活保護及び予防接種に関する事務 印鑑登録に関する事務 参照元:総務省基本台帳 そのため、海外移住に伴い、自分自身の立場では抜くべきか残すべきかをしっかりと見極める必要があります。 住民票を抜くか否かを決める前に、住民票の有無は自分の意志で決めてよいものなのでしょうか? 筆者はベトナムに移住する前に東京都の文京区に住んでいましたが、自身が転出届を提出する際に得られた回答は下記の通りでした。 1年を超える長期滞在の場合には、国外転出の手続きをしていただく必要があります。1年未満であればそのまま残しておいても構いませんが、1年を超える場合は届けを提出してください。 こちらの期間に関しては、お住まいの市区町村により差がありますので市役所で確認をすることをお勧めします。 実際に文京区が作成するウェブサイトにも、下記の通り同様の記載がありました。 質問:しばらくの間海外で暮らすことになりそうですが、住民票はそのままでよいのでしょうか。 回答: 海外に滞在する期間がごく短期間の場合は、住民票をそのままにしても構いません。 長期の滞在(おおむね1年以上)になる場合には、生活の本拠地が日本にあるとはいえないため、国外転出の手続きをしていただく必要があります。 住民票を置いたままにしておきますと、住民税、国民健康保険料等も負担していただくことになります。 参照元:文京区サイト抜粋 1年以上の海外滞在となる方は、基本的には住民票を抜くことを前提に考えておくとよいでしょう。 不安がある方は、お住まいの地方自治体へお問い合わせください。 では、ここからは住民票を抜くか迷っている方に向けて、メリット・デメリットを紹介していきます。 住民税を納付する義務がなくなることは一番のメリットではないでしょうか。 住民税は前年度の所得に応じ翌年支払う税金ですが、原則として1月1日現在の住所地で課税されます。そのため1月1日時点で住民票を抜いていれば住民税を支払う必要はありません。 住民票は引っ越し日の14日以内に転出届を提出することが推奨されています。 筆者は1月10日頃に引っ越しをしましたが、12月28日に住民票を抜いたため住民税を支払う必要がありませんでした。当時このルールを知らずに区役所を訪れた際に、区役所の担当者から教えてもらいありがたかったことを今でも覚えています。 住民税の金額は前年の所得により異なりますが、おかげで30万円ほどの支払いが必要なくなりました。 厚生年金は住民票を抜くことで、支払いの義務がなくなります。 将来の年金受給額が減ることを避けるために加入しておきたいという方は、個人での加入や継続が可能ですので手続きをしておくとよいでしょう。 国民健康保険料を納付する義務がなくなるという一方で、帰国した際に日本で治療を受けても控除されないため10割負担で医療費を支払わなければいけません。 持病がある方や、日本に定期的に帰国して通院予定のある方は、住民票を抜かずに健康保険に加入している状態の方が安心かもしれませんね。 また、海外で病院にかかると、治療費が高額になるケースが多く見受けられます。 ベトナムでは働く労働者の権利と義務確保のために、2022年1月より外国人の社会保険の加入が強制となり保険料率が引き上げられました。それにより外国人もベトナム人と同様の医療保険を受けることができます。 ただ、現実的にはローカルの限られた病院にて2割負担で治療が受けられるというもので、日本語や英語が通じる病院は対象外です。 多くの日本人にとっては入院や怪我をした場合、ベトナムの社会保険の範囲内の治療では水準が低く不安も多いと思いますので、現地で加入できる保険などを事前に調べておくことをおすすめします。 住民票を抜くことで、マイナンバーが失効します。オンラインでのスムーズな行政手続きや本人確認書類として使用ができなくなるため、日本と行き来しながら生活をする方にとっては不便になる可能性があります。 政府も今後は銀行口座との紐づけなど、よりマイナンバー利用を促進すること発表していますので、慎重に考えた方がいいかもしれません。 結局のところ住民票は抜いたほうがいいの…? ≪住民票を抜いたほうが良い方≫ 住民税などの税金の支払いを減らしたい方 ベトナムで保険に加入しており、医療が安心の方 1年以上海外滞在予定の方 ≪住民票を残した方が良い方≫ ※例外があります 日本で定期的に通院予定がある方 日本での行政手続きが多い方 マイナンバーを利用したい方 ・身分が証明できるもの(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード(個人番号カード)、住民基本台帳カード、在留カード、健康保険証等) ・マイナンバーカード(個人番号カード)または住民基本台帳カード(交付を受けている異動者の方全員分) ・住民異動届(各役所のホームページよりダウンロードもしくは現地にて記入) 海外転出届は上記を持参し、持参し住民登録窓口を訪れて届を出すと完了します。 最近では郵送でも完了するので、渡航前の忙しい時期に役所を訪れる手間が省けるので便利です。区ごとに手続きの流れが変わるため、お住いの役所のウェブサイトで事前に確認するとスムーズに手続きを進めることができます。 手続きが完了すると住民登録がなくなり、住民票が取得できなくなりますのでその他の手続に住民票が必要な方は注意が必要です。 日本で転出届を出し、無事ベトナムに到着したら在留届を提出することも必要です。 ...
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- 2025.10.17
- ベトナム人スタッフの問題意識と夢への姿勢を考える
- 多くの日本人管理者が、ベトナム人スタッフに対して問題意識が薄いと感じることが多いのは理解できます。問題意識が低いということは、現状に満足しているか、現状に適応できているため、改善の必要性を感じていないということになります。そのため、仕事においては受け身であり、改善提案や改善活動への意識が生まれにくいのです。ボトムアップ的な経営を目指す理系企業の経営管理者にとって、この姿勢が不思議であり、不満や不可解さを感じるのも無理はありません。 問題は大きく三つに分けられます。まず顕在的な問題は、緊急性が高く誰にでも明らかな課題で、例えば明日の生活費をどうするかといったことです。次に潜在的な問題は、現在の生活には問題がないように見えても、背景にあるリスクが表面化した際にどのような影響があるかを考える必要がある問題です。最後に、自己実現的な問題として、現状に満足してリスク対策を講じているものの、より高次元の目標や夢を達成するために克服しなければならない課題が存在します。 現状に満足し、改善の必要がないと感じることは、精神面では良いことだと個人的に思います。満足しやすく、日常を楽しみやすいことで、最終的には幸福感を得やすくなるからです。しかし「無知の幸せ」という考え方もあります。これは、事故や病気、子育てなどの人生における様々なリスクについてあまり意識せずにいることから生まれる幸福感を指します。つまり、起こり得るリスクを知らない、あるいは無視しているために、今の状況に安心しているのかもしれません。そうではなく、リスクを理解していること自体が問題を認識する第一歩だと言えるでしょう。 日本では四季があり、特に冬には準備や蓄えが不足すると命に関わるリスクが常に存在します。また、自然災害も頻繁に起こるため、日常的にリスクと向き合いながら損害を減らしリスクをヘッジする習慣が身についています。そのため、比較的気候が安定しているベトナムよりも問題意識が高いと考えられます。一方、ベトナムでは社会の発展とともに平均年齢が30代前半となり、親世代の医療費や中年世代の子育てコストなどがより意識されるようになってきています。社会の発展に伴い、物価の上昇とともに問題意識も高まっていくでしょう。 裕福な家庭や一定の地位と収入がある中間管理職に関しては、生活リスクから解放されているため、夢を尋ねると多くの人が早期退職を挙げます。早期退職後の希望は、遊ぶことやゆっくりすること、農業や世界一周旅行など、楽しみに関するものが多いです。それを見ると、今の仕事はそれほど苦労が多いのか、楽しめないのかと疑問に感じます。また、多くの人にとって仕事は自己実現の手段ではなく、稼いだお金で好きなことをするための手段になっているように見えます。しかし、遊びもすぐに飽きが来るものであり、それだけで満たされるわけではないと私は思っています。それでも、早期退職は一つの大きな夢として広く認識されています。 日本のメディアでは「日本一」や「日本初」といった言葉がよく使われ、プロジェクトXのようにチームで達成する夢が称賛されがちです。一方、ベトナムでは「ベトナム一」という言葉も使われますが、普通のものを努力して作り上げた結果に関することが多く、例えば大きなラーメンや仏像といった、人々の夢とは直接関係のないものが中心です。 また、日本では仕事の話が職場外の集まりでも行われることが一般的ですが、ベトナムではオフ会はリラックスするための場であり、仕事の話をするのはタブーとされています。仕事の話を持ち込む人は、雰囲気を壊しがちで、周りから敬遠されることが多いです。こうした状況から、個人レベルで夢を語り合い、高次元の目標を共有して応援し合う文化はベトナムではまだ希薄だと感じます。 とはいえ、ベトナムのような開発途上国では、大きな夢を持つことは一般的に難しいとされています。社会や政治的にも「出る杭は打たれる」風習が根強く残っており、大きな夢を持つことは無謀だと見られがちです。しかし、約30年前に日本に留学した際、日本の若者が音楽バンドやストリートアートに情熱を注ぎ、夢を追いかける姿にとても憧れを感じました。そのような人々が自分の夢を追いかけることで、周囲に与える影響は非常に大きいと実感しました。 現在のベトナムでも、バンドや伝統芸能、コメディアングループなどが増えつつあり、夢を追いかけながら生計を立てることが可能な状況になりつつあると感じています。生活がだんだんと安定してくることで、ベトナム人も夢を本気で追うことができるようになるでしょう。若い世代やサラリーマン世代でも、会社の中で夢を語る機会が増えてくるのではないかと思います。 もちろん、若い世代に期待するだけでなく、今の中間管理職も自ら行動し、仕事の中で自分の夢を見つけることが大いにプラスになるはずです。どのようにすれば夢を持って挑戦する意識を育てられるかについては、今後さらに考察したいですが、夢を持つことの重要性を改めて強く感じています。