ベトナムは、コスト面や地理的な面から製造拠点として注目されており、特に、電子機器、アパレル、靴などの製造業が盛んで、多国籍企業の製造拠点として選ばれています。また、農産物の加工業も急成長しており、コーヒー、パーム油、缶詰などの食品加工が行われています。
このようにベトナムでは海外企業の進出や海外企業の製造拠点が増加し続けていますが、ベトナムの経済成長と共にベトナムの国内企業も目覚ましい成長を遂げており世界への影響力も高まりつつあります。
今回は「ベトナム国内の有名企業」について業界ごとに事業規模や展開内容についてご紹介し「ベトナム国内企業の成長要因」や「今後の展望について」も解説していきます!
ベトナムの有名企業は?
2023年に米系経済誌フォーブス・ベトナム(Forbes Vietnam)が発表した「ベトナム優良上場企業トップ50」によると、トップ10は
Petrolimex(ペトロリミックス)
Hoa Phat Group (ホア・ファット・グループ)
Mobile World Investment Corporation (モバイル・ワールド・インベストメント・コーポレーション)
PV GAS(PVガス)
Masan Group (マサン・グループ)
Vinhomes(ビンホームズ)
Vinamilk(ビナミルク)
BIDV
Vietcombank(ベトコムバンク)
Vietinbank (ベティンバンク)
となっています。このリストは
2022 年に黒字であること、最低収益と資本金が 5,000 億ドンであることが要件
2018 年から 2022 年までの収益、利益、ROE、ROC 比率、EPS 成長率の複合成長率という 5 つの基準に基づいて企業が定量的にスコアリング
Forbes Vietnamによる業界における企業の地位、利益の源泉、コーポレート・ガバナンスの質、業界の見通しなど、ビジネスの持続可能な発展を評価する定性調査を実施
と以上のような基準で選定されています。
業界別ベトナムの有名企業
ここからは、「ベトナム優良上場企業トップ50」のうちトップ10の企業を業界別に詳しくご紹介していきます。
エネルギー
Petrolimex

ベトナム最大の石油・ガス企業で、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料などの燃料を販売しています。国内のガソリンスタンドのネットワークを広範に展開しており、ベトナム全土での燃料供給を行っています。
本社:ハノイ市
設立年:1956
事業内容:石油の輸出入および取引、精製、石油化学製品、Petrolimexが行っている分野での事業を行うための他の事業への資本投資等
連結税引前利益:3.947billion VND(2023)
PV GAS

ベトナム最大の乾性ガス輸送業者および供給業者、ベトナム第一の LPG 生産業者および貿易企業で、国営のPetroVietnam(ベトナム国営石油ガスグループ)の傘下にあります。
本社:ホーチミン市
設立年:1990 年
事業内容:ガスおよびガス製品の輸送、ガス工事の設計、建設、設置、運営、保守および修理、ガス輸出入業務の港湾倉庫サービス、ガス産業向け資材・設備の提供、石油・ガス管の塗装(防食塗装、断熱材、鉄筋コンクリート)
連結税引前利益:14.640billion VND(2023)
製造・鉱業
Hoa Phat Group

ベトナムの大手工業製造グループで、ベトナムで建設用鋼材および鋼管の市場シェア第 1 位を保持しています。建設機械の販売を専門とする会社としてスタートしたホアファットは、家具、鋼管、建設用鋼材、冷凍、不動産、農業などの他の分野にも徐々に事業を拡大しています。
本社:ハノイ市
設立年:1992年
事業内容:鉄鋼(建設用鋼材、熱間圧延鋼板)、鉄鋼製品(鋼管、亜鉛メッキ鋼板、伸線鋼板、プレストレスト鋼板など)、農業、不動産、不動産家庭用の家電製品の製造
連結税引前利益:6.835 billion VND(2023)
食品
Masan Group

ベトナムの大手総合企業で、消費財、食品、鉱業など多岐にわたる事業を展開しています。
全国に展開のWinCommerce は、WinMart スーパーマーケットと WinMart+/WiN ストアなどの小売事業、また、Masan Consumer Holdingsでは調味料・食品等の販売を行い、主なブランドにCHIN-SUなどがあります。飲料分野ではカフェチェーンのPhuc Longを手掛けています。
本社:ホーチミン市
設立年:2004年
事業内容:小売業、調味料・飲料・その他食品等の消費財の製造販売、個人および中小企業向けの金融サービス、鉄鋼の製造加工
連結税引前利益:78.252billionVND(2023)
Vinamilk

ベトナム最大の乳製品メーカーであり、中東、韓国、中国、東南アジア等国内外で広く展開しています。
国際品質の乳製品の製造販売を行っており、牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、飲料から総合栄養食品まで幅広く展開しています。
本社:ホーチミン市
設立年:1976 年
事業内容:乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ・アイスクリーム・飲料)、その他飲料、総合栄養食品、砂糖の製造販売
連結税引前利益:60.479 billionVND (2023)
金融
BIDV

1957年「ベトナム建設銀行」として設立され、ベトナム北部の社会主義経済に貢献していき、3 回の改名を経て現在のBIDV となりました。2022 年末までにカンボジア・ラオス・ロシア・台北など海外駐在事務所を設けています。
2019年には韓国第3位の銀行であるハナ銀行が戦略的協力協定を正式に締結し、ハナ銀行がBIDVの定款資本の15%を保有しています。
本社:ハノイ市
設立年:1957年
事業内容:個人または企業向けの銀行サービス・保険事業、各種仲介・投資コンサルティング、金融投資
連結税引前利益:27.589billion VND (2023)
Vietcombank

国内外に 600 以上の支店があり、約 23,000 人の従業員と全国に 2,500 台以上の ATM と 60,000 台以上のカード支払い受付ユニットを備えたオートバンク システムをもっています。
2011年にはみずほ銀行がVietcombankとの資本・業務提携を行い、株式の15%を保有しています。
本社:ハノイ市
設立年:1963 年
事業内容:個人または企業向けの銀行サービス・保険事業、各種仲介・投資コンサルティング、金融投資
連結税引前利益:41.244billionVND (2023)
Vietinbank

ベトナムの主要な商業銀行であり、金融サービスの幅広い範囲を提供しています。
三菱 UFJ 銀行は2012年にVietinbankと業務提携契約を結び、株式の約20%を取得しています。
本社:ハノイ市
設立年:1988 年
事業内容:組織や個人から短期、中期、長期の預金や資本融資、組織と個人間の支払い、外貨取引、国際貿易金融サービスの実施、コマーシャルペーパー、債券、その他の有価証券など
連結税引前利益:25.100billion VND (2023)
▼ベトナムの主要銀行や銀行事情について詳しく解説しています
不動産・建設
Vinhomes

全国で不動産の開発、譲渡、運営の分野で事業を展開する、ベトナムでナンバー 1 の不動産ブランドで数々の高級住宅地やリゾートホテルなどを手掛けています。
Vinhomesはベトナム国内で一番資本金が多い民間大企業であるVingroupの傘下にあります。
本社:ハノイ市
設立年:2002年
事業内容:不動産の開発、譲渡、運営
連結税引前利益:103.300 billion VND (2023)
小売・通信
Mobile World Investment Corporation

ベトナムのエレクトロニクスおよび家電製品の販売における主要な小売企業です。収益と税引き後純利益でベトナムトップとなっています。
小売チェーンを運営する子会社のほかに、アフターサービス、設置サービス、ラストマイル配送、物流、倉庫サービスなどの関連サービスを提供する子会社もあります。さらに、インドネシアの消費者向け電子機器小売合弁会社を通じて地域市場にも進出しています。
本社:ホーチミン市
設立年:2010年
事業内容:家電小売り、家電関連サービス業、生鮮食品・日用品等消費財の販売、化粧品・医療品等の販売、ベビー用品等の販売
売上高:5billion VND (2023)
ベトナム国内企業の成長要因は?

ドイモイ政策による市場経済の導入
平均年齢の若さと中流層の拡大
政策支援・インフラ開発
テクノロジーの導入
などが主な要因として考えられます。
具体的には、1986年から導入されたドイモイ政策による市場経済の改革により民間企業の設立が促進され、外資系企業の誘致も加速しています。
また、ベトナムの平均年齢は33歳と若く、労働力が豊富で、近年の教育水準の向上により多くの優秀な人材を輩出しています。このことが、中間層と消費市場を拡大させ、さまざまな商品の需要が増加しています。
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さらに、政策支援も大きな要因で、国と銀行一体となった税制優遇や投資促進政策が市場の成長を後押ししています。
近年ではキャッシュレス市場やIT導入などのテクノロジーの導入を政府が主導しており、最新技術を活用することで生産性の向上や新しいビジネスモデルの構築が実現しています。今後の地下鉄等のインフラ拡充もまた、ベトナムの経済を活発にする要因となるでしょう。
このような要因が相まって、ベトナムの企業は国内外での競争力を強化し、急成長を遂げている要因と考えられます。
ベトナムの経済状況
ベトナムにおける物価上昇率は全体として増加傾向にあり、2024年第1四半期の消費者物価指数は2023年の同時期と比べて3.77%上昇しています。
また、ベトナム政府は2024年7月1日から適用される最低賃金を引き上げの規定を発行し改定前より平均で約6%上昇しました。
平均月収は低い?
2023 年の1人当たりの平均月収は 496 万VND(=31,496円) に達し、2022 年と比較して 6.2% 増加しています。
この統計から「ベトナムは平均月収が低く発展途上国である」と考えられる方も多いかと思いますが、実際は
人口生活水準調査報告書における一人当たりの平均収入には、働いていない、仕事を持たない、またはまだ労働年齢に達していない世帯内の扶養家族も含まれている。
と発表されていることからベトナム人一人当たりの収入額は統計データよりも高くなる可能性があります。
国内需要の拡大を政府が主導
ベトナム政府が発表している2024年の経済成長政策によると
観光フェスティバル、ショッピングフェスティバル、国内市場貿易促進プログラムによる消費を刺激する政策の実施
デジタルプラットフォームを通じた国内消費を拡大するための電子商取引
ベトナム製品の優先的な使用の奨励
農村部や山岳地帯の流通システムの近代化への投資
二国間および多国間貿易協定の活用、ベトナム製品の生産市場の拡大
外国人観光客の誘致、外貨獲得
宿泊、飲食、運輸、貿易、その他のサービス等の産業チェーンへの支援
外国投資資本の誘致
再生可能エネルギー、半導体チップ、社会経済発展、持続可能な経済発展、グリーン経済の役割を果たすその他の産業などの新しい分野への参入
農林水産物の品質の向上、付加価値の高い製品や輸出優位性のある製品への注力
以上のように、政府が主導となって国内需要の拡大や外国資本の誘致、国内製品の市場拡大などの計画を立てています。
このような政策からも、ベトナム国内企業の成長の期待が高まっています。
まとめ

ベトナムには急成長を支える有力企業群を擁し、経済の多様化と国際化が進んでいます。特に「ベトナム優良上場企業トップ50」にランクインした企業は、エネルギー、製造、食品、金融、不動産、小売など多様な業界で活躍しています。
ベトナムの経済発展に伴う国内消費の拡大を見込んでベトナムに進出する日系企業も年々増加しており、ベトナムの成長に注目と期待が高まっています。
ベトナムで働くことで急成長する経済を実際に体感しながら、その成長に貢献し経験値を高められる可能性があります。
この記事が参考になりましたら幸いです。
ベトナム情報週刊コラム
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